2021年1月11日月曜日

好戦も反戦も無知の対立に過ぎない「日米戦争を望んだのは誰か」渡辺惣樹

渡辺惣樹の著書真珠湾と原爆 日米戦争を望んだのは誰か ルーズベルトとスチムソン。表題通り真珠湾、原爆の是非、FDRとスチムソンの4個が均等に扱われているが、表題に関する驚くべき新しい情報は無かった。これまでの彼が翻訳した本や彼自身の本を読めば既知か連想が可能な事ばかり。

ただし、個人的に1点だけ面白かったのはリンドバーグとアメリカ第1主義。FDRに対する反戦組織として1940年に作られたアメリカ第1主義は1941年には80万人に到達した。

しかし、彼らはFDRを止められなかった。それ自体は彼らの責任とは言えないが、問題なのは、WW2をヨーロッパだけの戦争として認識していた事。アジア(日本)には無知、無頓着であった。

同時代にも、日本における満洲はアメリカにおけるテキサス(米墨戦争)に等しいという意見はアメリカ国内にも存在した。しかし、反戦派の中には排日移民法に準ずる派閥も多く存在し、必ずしも世界秩序を考えた反戦ではなく、労働や損害などの微視的な根拠で、しかも視野にはヨーロッパしか入っておらず、FDRやスチムソンの大国主義的な野心や正義による日本圧迫にまるで無知だったのが多数派であった。

ハルノートがアメリカ国内では非公開であったとしても。

これを読んで第7回アフリカ開発会議(TICAD7)を想起した。安倍晋三が首相だった頃に、消費増税から間も無くやっていた事で、消費税やその他の政策などで彼を非難するのは当然だが、外国にかまけていないで日本をどうにかしろ、という正論のようで情けは人のためならずを無理解な後光効果による批判者が溢れて辟易したものだ。

中国に食いつぶされてるアフリカを日本が取れたら、国内経済にも外交にも有効な一石二鳥が理解出来ない国民。これは安倍晋三のその他の失策とは全く別問題であり、逆に首相が誰であろうと有益な事なのだが。

様々な時代に言われている事だが国民が無能な政府を望んできた結果が敗戦であり、消費税であり、現Covid19経済なのだ。

無知は罪。はっきりわかんだね。

例えば、Covid19は80nmから220nmで一般的なマスクの密度(μm)ではそれを防げない。予防策に無効なマスクをするのは何故なのか説明できる日本国民が何割いるのだろうか。それでいてマスクの密度を無視しながらマスクの有無に固執したり、マスクより重要な予防策を軽視する日本人…に限らない人類。

日本はまた敗戦を繰り返し、人類全体もまた冷戦(超限戦)をやめられない。

本書ではFDRが歴史書を読まず学ばぬ愚者として批判しているが、そもそも歴史を暗記ではなく学習してる人間が、人類の何割にあたるのだろうか、という悲しい現実がある。

21 Lessonsの序文でハラリは、日々の生活に追われて学べず微視的な価値観や人生しか迎えられない人間から学者が学ぶべき事が多い、と書かれてるが、それでは学者などの特権は変わらない。

ここには2つの問題があり、1つは人間は難問に取り組むぐらいなら「肉体的苦痛の方がマシ」と考えていることが判明に示される当人の怠惰。もう1つは激しい肉体労働は認知症のリスクを高めるとの研究結果に示される国や人類単位で改善しなければならない環境。

いずれにせよ、巨視的な人種は独占を望むし、微視的な人種は怒るだけで挑戦しない。人類の課題は、統壱でも雑多でもなく、対立せずに平行が可能な原理の構築。