音楽を売りにしながら、音楽に手を抜かず、音楽を好きじゃなくても楽しめる仕掛けを用意する。
このサービス過剰は、そもそも彼女の音楽自体がそれであり、過剰なコード進行、1曲内の順番ごとに演奏を変える構成、表情(音量)の大小変化。全体として好きじゃなくても局所でひっかかるように。箇所が好きじゃなくても全体として何かあるように。
予算や時間に限界はあっても手は抜かない。手数が少ないなら手間をかける。男と女、おっさんおばさん若年、太い細い、日本人と外国人、生者と死者。いずれも等しく、最終的な調和のための多様性の集合。関係者を使い捨てない。そして、彼女の文章の端々に見える、結果を全肯定しないのも正しいと容認。
20年以上も彼女の音楽を聞いてると、正直言って飽きてる曲もあるし、聞きたくない曲もあるし、やって欲しいのにやってもらえない曲が幾らでもある。それでも彼女を信頼できるのは、つまりはこれらなのだと、再認識した。