2018年6月13日水曜日

楓牙 - ふしだらな兄妹 - 感想


【物語との乖離】
雑誌での原稿料があるから無理だろうが、もし単行本を前提に描くなら、もはやセックスは最初話と最終話だけにして、やりたい本編だけやったらどうか。
初期は人間関係=恋愛だからエロ漫画として成立していたが、楓牙も歳で今では恋愛以外の異質な関係を描くようになり、物語とセックスが無関係。
とにかくセックスのために理由不問の馬鹿な作品ならともかく、物語を売りにしてるからこそ、乖離が目立つ。

【ツリ目】
個人的に、ツリ目は絵の目としては普遍的にタレ目を優越してると思っていたが、それは間違いだった。
近年、ここ10年くらいで、気づけばタレ目が分野の主流になってる。
恐らく男の消費より女の消費が勝る、女むけの商品が増えたのが1因だろうが、いずれにせよ、タレ目時代に久しぶりにツリ目キャラを見た気がした。
この辺り、意図した時代錯誤だろうか。
個人的にはツリ目派なので、これは嬉しい。
イカガールよりタコガール。
ツリタレの例で、藤田和日郎の美少女目はツリだろうかタレだろうか。
基本的にはツリだと思うが、表情が激しく変化する絵であり、かつキリっとしつつ案外眉は山なり。
この単純じゃない簡略化という素晴らしい美少女は、もはや若者には売れない作風は別にしても、画風は今でも第一線じゃなかろうか。

【足】
今回、足が目立った。
ここで言う足は、足首から爪先まで。
楓牙は基本的に絵が大きめで、かつ着衣が多いのでセックスで足が見えないコマが多かったが、今回は。
姉の秘密と僕の自殺では裸足ながら、足が接地した踏ん張りだったが、今回は、正常位で足が宙にありながら指を伸ばしたり曲げたり反応の一部として描かれていた。
男は特に女の肉体こそ重視するが、女は男の指を見るのも女の靴への執着も、結局は安定した繁殖の延長である。
男は女の脚を見るわりに足の描写は扱いが軽い気がする。
少なくとも顔や胸と等しくはない。
反面、靴と裸足の対比は明確で、ブレードランナー2049で彼女が裸足で登場した時には、あざとさに笑ってしまった。
女の足の反応に嘘はない、と思えるほどに、少なくとも足にまで動きがあれば、そこまで気が通ってるという事になる。
笑顔が嘘であるかが問題ではなく、笑顔であるかどうか、という事。

今回、登場人物が4人だが、妹と眼鏡はやってよかった。
A*BとC*Dで終わってしまったが、A*CとB*Dの4組展開があれば、物語に便乗しつつ、よりエロかったのでは。
不本意だが拒むほどではない関係として。

【狩野ハスミ】
今でもMUJINの表紙は狩野ハスミが描いてるようだが、彼女もう漫画を描かないのはともかく、仕事を続けてるのなら、MUJINの表紙画集を出したらどうか。

絵柄はだいぶ落ち着いたか。
2作くらい前までは、ちょっとずつ絵が歪んできて、よくある加齢による絵よりも話(意味)によってしまったかと思ったが、今回は幾らかそれよりも前の絵柄に近くも、同じではない感じ。