三体
近年最大のSF小説の盛り上がりを見せた三体。
善かった点
人類の歴史上4次元空間に接触する人間がいて、歴史の転換に関わっていた、あるいはその奇跡を生かせず関われなかった事が断片とはいえ描かれてる。また、4次元空間に慣れてしまうと、3次元空間に対して閉所恐怖症となるのは面白い着眼。
暗黒森林という価値観の提示。宇宙が有限である限り、善意も悪意も違いに判断のしようがなく、互いに存在を予想しながら音信不通でいるのが高度文明の常識。
地球人類だけじゃなく、地球人類にとって脅威である筈の三体人類が直面する脅威も描かれている。彼らが地球侵攻の前の実験で高次元生物に遭遇して右往左往する場面は笑った。
地球と宇宙では心身ともに人体の状態は異なる。宇宙にいる間、地上の倫理など全く無意味だし、地球に踏みとどまる以上は宇宙生物(生活)の価値観は理解不能。
凡人、大衆がいかに愚かで容易な掌返しで人類に何も貢献しないか描かれている。
悪かった点
女がとにかく気持ち悪い。誰も彼も美人で学歴的な能力はあるが、肝心な事は男の判断と行動と存在に依存してるだけ。
面壁者という発想は面白いが、敵の対抗策が特撮ものやアニメのような悪の組織幹部みたいな対立で馬鹿らしい。
どこまで意図したものか不明だが、ところどころ子供向けのアニメや特撮のような幼い対立構造や言動が短絡的。
巻末の解説で、作者は新海誠を好きだと書いてあって、女の気持ち悪さに納得した。