2020年12月15日火曜日

NiziU『Step and a step』Aメロは調を無視も超越もミスもしてない500年前の音楽理論である教会旋法(モード)

Aメロが長2度ではなく減2度を歌ってて、それがミスだとか調を無視してるとか超越してるみたいな評価がされて盛り上がってると聞いて、自分も質問されたのもあり便乗してこの記事を書いた。

結論は記事名の通りで、ポップス的には珍しいかもしれないが、調でもコードでも説明できるし、更に調とコード以外の音楽理論でとっくの昔に理解されてる事が、今回こういう形で盛り上がったという話。

  1. そもそも西洋音楽の音階は基本的に7種類あって、長調と短調はその内の2つに過ぎない。
  2. 更に、短調の音階は、自然短音階、旋律短音階、和声短音階の3種類がある。特に旋律短音階は、音程が上に動くときと下に動くときで音階が変わる。この曲に限れば無関係な話だが、つまり短音階派生を含めた9種類の音階があり、この曲はそれに準じており、曲やメロの好き嫌いとは別に、調を無視してるとか理論を超えた天才の革新みたいな事は一切無い。
  3. コードで言ったらEm7b9。着地をEmとするとE短調(全部を聞いてないけど曲自体はG長調?)。ポップスで珍しいコードだが、ジャズやクラシックではよくある。短調(マイナーコード)の派生で短調の外にある音を使うコード。しかし短調(マイナーコード)に準拠してるコードで、コード自体は珍しいものではない。
  4. 更に言えば、7altなど長調と短調の音を同時にならすコードもある。それ自体はポップスで珍しいのは事実だが、調内と調外を埋める音楽理論(知識や用語や手段)は既に確立されてる。
  5. また、調とコード以外の説明も可能。最初に書いた7種類の音階のうち、長調と短調とは別の音階、短調に準じる教会旋法のフリジアンと短調(自然短音階)であるエオリアンを行ったり来たりしてる。旋法とはまさしく旋律の方法なので、メロを考えた場合には調やコードよりも先にある概念。

以上のように、調とコードだけでも説明が可能だし、調とコード以外の音楽理論にも準拠した曲であるのがわかる。それを好きか嫌いかはそれぞれ消費者が判断をすれば良い。

しかし、この曲は調やコードから外れたり超越したりミスしたものでは全くなくて、既存の音楽理論で充分に理解できる曲である。

そもそもメロの話なのに旋法が無視されて調とコードだけで語られるのは本末転倒だ、というのが自分の感想。