2020年12月25日金曜日

INTJから見たバットマンとノーラン

当時バットマンビギンズをノーランがやるのに違和感があった。彼はアメコミには興味ないだろうし、バットマンは売れるのが目的の主流商品で小賢しい新米監督にまかせる意味がわからなかった。世間がダークナイトで浮かれる前に自分はバットマンビギンズをリアルタイムで見て、その疑問を結果でくつがえされて喜んだものだが、ビギンズの時点で喜んでる人間は極少数だった。少なくとも日本に限れば。

MBTIの観点で言えば、INTJノーランが作ったINTJバットマンなんだからダークナイトが最高なのは当然だ。これまでその点で考えた事はなく、ただ自分の価値観と一致した上で、自分では不可能な事を実現した天上の幸福として見ていた。

ノーランを難しいというのは理解できない。彼の実行力を凄い、彼の成功が凄い、自分たちには出来ない、ならわかるが、彼自身の思想や前提や設定は何も難しくない。とこれまで自分は考えていたが、それはたまたま自分が彼と同じ指向だっただけと自覚した。肯定にしろ否定にしろ、この違和感を理解するいい機会だった。

だから世間がテネットを肯定してるのも理解できない。あの作品は構成には相変わらず凝っているが、手持ちカメラが増えてわかりやすいだけで圧倒する映像が少ないし、ノーラン史上もっとも予算だけで実現した凡作で、ノーラン水準で何も温故知新を提示していない。これまでのノーラン作品の総集編に過ぎない。

彼がフィルム会社の倒産を回避するために出資したり、メジャー作品以外の売れないが思想を肯定した作品や作者へ出資してる事など、彼の作品を全て見て、彼の作品として表に出ない活動すら追いかけてる信者または同調者だからこそ、今回のテネットには作品にも評価にも不満である。

ノーランをただの大作監督としてしか認識せずに他の大作監督と何が違うか自分なりに説明もできなければ考えもしない消費者ほどテネットを大絶賛または難しいと言ってるように見える。

アメリカだと、ハウスMDやブレイキングバッドやバットマンやノーランなど、その分野の中心として大ヒットする。しかし、日本ではやはり受け入れがたい指向のようだ。実写映画以外のバットマンファンすら好き嫌いとは別にBATMAN: UNDER THE RED HOODを既知で言及してる人は少ない。順位はどうあれバットマン名作アニメ Top10には安定して入るほどの作品なのに。

そこには長らくDCが商売上で悩んできた、暗くて重い間違いなく現実を反映した浮かれて見られない象徴としての作品、というバットマンがある。

もっとも、バットマン自体は当初は半ばプロパガンダを含んで呑気な子供を誘導して金をいただこうという浅ましい商品であったのだが。

DCに限ればスーパーマンやワンダーウーマンとの対比で段々と暗く重くなるのもわかるし、MBTI同様に単純な象徴としては成功だろう。そういう意味でINTJ自体が資本主義経済の商品として大成功してるのは驚く。と同時に、見せ物として消費する癖に、実在する彼らのような存在と問題をあまりに無視する消費者が多すぎる。