2020年8月31日月曜日

鳥玄坊 - 明石散人 - 平行世界の統一的な混乱の面白い描写

鳥玄坊

日本の偽書や現存しない書籍/情報を含めて全て事実だったらどうなるかと言う小説。

八岐大蛇がただ大きいだけで名前と性質の関連が無い大怪獣なのは残念。

用語の多い大長編ドラえもん。

登場人物の設定はともかく、言動が萌えアニメやラノヴェみたいで気持ち悪い。

女の美女や性的な描写が過剰。

ヒロインがノーパンだった理由のように、根拠と目的が一致した行動なら笑えるし展開にも寄与している。

日本文化と宇宙的な歴史。双亡亭壊すべしが近い。

3重交点で世界を支配している日本と言う設定はSF的には面白いが、大国に寄生しないと生きていけない現実とあまりに乖離していて絵空事とは言え虚しい。

平行している時間を自覚または無自覚に交錯するとどうなるのか。ウォッチメンのDrマンハッタンやArrivalと異なり、1本の時間を前後交錯するのではなく、平行の時間が1本の経験になる描写は面白かった。

ダーク・ジェントリーの催眠術にも言えるが、漫画や映像など視認出来ると読者や観客の主観から現象を確認出来るので、演出として違和感がある場面にしてるのだな、とわかるが、文字だけだと前提と結果がわからないまま断片を追っていくだけなので、こういった状況の混乱が、読者の混乱と直結していて全くの他人事なのに疑似体験が出来て面白い 。

ただし、やりたい事がわかったので、3部作だが1だけで満足した。一応2と3も軽く読んだが、設定を見せた段階で終わってるような作品なので、3冊で盛り上がる事が自分には無かった。

漫画ベルセルクは古今東西南北の神話を1本の漫画にまとめてしまおうと言う野心作になったが、あれに地球描写に笑った感覚に近い。