2019年10月16日水曜日

【音楽】音量の強弱/抑揚による表情の差 - 音楽を決定する指揮者の存在

安月名莉子「be perfect, plz!」MV(TVアニメ「慎重勇者〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜」ED)

自分は彼女を知らない。
アニメも知らない。
Youtubeガバガバあなたへのおすすめに表示されたので、気侭にのぞいただけ。
しかし、1コーラス(約90秒)を聞いたら、悲しくなった。
表情が全く無い

論点

この場合の表情とは、主に伴奏の話である。
派手だけど平坦。
  1. 音楽の優劣は表情の多様さにある。
  2. それは楽譜上の強弱記号、それを反映した現場の指揮(抑揚の指示)にある。
今回の曲で悲しかった原因は以下の優劣ではない。
  • 歌手
  • 演奏者
  • 作曲/編曲の作家
  • 編成/予算
これら4点は何も悪くない。
もちろん、世界1だと絶賛するほどのモノではなく、個人としての好き嫌いの幅はあれど、充分に商品として売れる質である。
【音楽】強弱による表情の差

この動画は、音量の変化が無い均等と、エクスプレッション(時間による音量変化)だけを追加した比較データ。
  1. 音量の変化が無い均等
  2. 音量の変化が有る表情
前者のほうが理論的にも心理的にも音量がある(音が大きい)ので派手に聞こえる。
しかし、均等な音量の楽器(ドラム/ベース)などが体感音量を幾らか維持しながら抑揚がある後者のほうが劇的に聞こえる。
特にクラシック音楽はこれが過剰で、最近芥川也寸志 - 八つ墓村などを聞いて、改めて楽譜上の単純さに反した表情の複雑さに感動した。

ポップスに派手さは必要。
しかし、派手さを維持しながら抑揚を激しく表情豊かな曲に出来る。
最近だと、実にわかりやすい例題に星と翼のパラドクスがある。
曲のノリは思春期100%で曲調だけ言うなら、聞いていられないという層もいるだろう。
それには全く同意する。
しかし、総尺ではない編集版ですら、サビの表情が周回によって異なる、極めて配慮が行き届いた仕上がり。
終盤の大サビを聞き比べると明らか。

大サビの比較

  1. 大サビ - be perfect, plz!
  2. 大サビ - 星と翼のパラドクス
繰り返すが、論点は作家や歌手や演奏の優劣ではない
はっきり言って、興味ない無頓着な人間からすれば、両者は同壹に感じるだろう。
実際に、両方とも客層と作風は同じである。
それを理解した上で、前者が悲しく、後者に感動できるのは何故なのか?
それが、音の強弱、音量の変化、表情の抑揚に起因する。

音量変化の段階

音楽における音量の指示は、大きく3段階。
123
p-f
実際的には9段階ある。
極小----極大
123456789
ppppppmp-mfffffff
例えば、ピアニストが練習風景を見せる配信【ブルグミュラー】スティリエンヌ/シチリア舞曲(25の練習曲)ピアニストによる練習解説(動画の7分頃)ではまさしく、楽譜に書かれた記号1つに対して、いかに2つ以上の表情をつけるか気をつける解説がおこなわれている。

結論?

音楽のジャンルに優劣は無い。
だからこそ、ポップスは表情に乏しくて許されるというものではない。
それこそ、数十万円から数百万円をかけて商品化できるという特権を持ってる人達が、こんな音楽的に基本的な事をおこたった商品をだしてしまうのは、消費者として悲しい。
作曲と編曲と編成と歌手と楽曲が同じでも、最後の最後で指揮(判断)を間違うとこうなるという意味において、色色と考えさせれた。