2018年10月25日木曜日

【双亡亭壊すべし】10巻 - そこまで奇麗にしないと気が済まないくらい藤田和日郎は汚く醜い問題を目の当たりにしてるのか

幻と知りながら幻に甘える。
様式の1つだが、個人的には銃夢のそれが1番。
男は母から逃れられない。
少年の絶望が周囲への破壊ではなく自殺に走るが今風。
藤田和日郎は少年漫画から逃げない代償にエロから逃げてる。
と言っても、彼からすれば、短編集などでエログロは充分にやったよ。という事なのだろう。
もはや、漫画というより童話になっている。
当初、この作品は70年代から90年代の復讐あるいは再起かと思っていた。
スティーブン・キングやジョン・カーペンターなどを、隠さずに残そうとしていた。
初期は興奮しながら読めたが、今は無理。
その理由は、結局焦点が人間にしか合っていない。
恐らくは藤田和日郎が感じてるであろう現代的で希薄な人間関係への怒りが、ここまで直球を投げさせているのだろうが、子供には古く、大人には幼く、完結後にどこまで盛り上がるのか何とも言えない。
ジョジョリオン、ヒストリエに並ぶ、晩年にして最高傑作かと思ったが、本人の情熱はともかく、少年漫画を選択し続けた結果、それが叶わないように思う。
価値観が古いのは構わない。それは旧世代の義務でもある。
しかし、単純に、歳のせいか絵が雑で、つらそうに見える。
今回、買うのに時差があった。
その判断は結果的に正しかった。
ディズニーマーヴェルへの反発を抱きながら、結局やってる事が同じになっている。
そこまで奇麗にしないと気が済まないくらい、藤田和日郎は汚く醜い問題を目の当たりにしてるという事か。
何も隠さずに堂々と描かれている。
読者のための娯楽漫画ではなく、漫画家のための教科書。
理想を鵜呑みに出来る世代が、これをどこまで評価するのだろうか。