2016年7月14日木曜日

【Hans Zimmer】欧州ツアーを見に海外旅行童貞を捧げてフランスに行ってきた #3


※注意※
の英語は、文法や語彙の間違いを含めて、記憶している限り現場での発言を書く

予算

3泊5日で20万円程度。
航空券日本とフランス往復119800円
宿泊Paris1泊11302円
宿泊Orange2泊14128円
エールフランスバス空港とParisを往復3500円
TGVParisとOrange往復30900円
現金400eur = 50000円
実際には、パスポートからスーツケースや雨具など揃えて保険やらもあるので30万円程度かかった。
夏休みの旅行者 3年連続で減少の見込み曰く、海外旅行の平均予算らしい20万円。

予定

【6月3日】
06:40 渋谷/成田エクスプレス
11:00 東京/成田国際空港発
16:25 パリ/シャルルドゴール国際空港着
17:00 バス/エールフランス - Les Cars Air France
20:00 宿泊/Best Western Allegro Nation
【6月4日】
09:00 宿泊/チェックアウト
11:30 出発/TGV/リヨン
15:00 到着/TGV/Orange
16:00 宿泊/Hotel Le Louvre
【6月5日】 目的
20:00 Hans Zimmer/ローマ劇場/Théâtre antique
【6月6日】
08:00 宿泊/チェックアウト
09:00 出発/TGV/Orange
12:30 到着/TGV/リヨン
17:00 バス/エールフランス - Les Cars Air France
23:30 パリ/シャルルドゴール国際空港発
【6月7日】
18:20 東京/羽田空港着

3日目

朝食が部屋に来るのか、どこか共有場所で食べるのか不明だったので、受付に行ってBreakfast,Please.と言ったら、あっちだべ、とホテル入口から左にある大部屋を指された。
入ると、Buffetであった。








食べてる最中に、湯婆婆を体重50kgにしたような眼鏡をかけた50代おばちゃんがクロワッサンを1つくれた。


既に自分で取ったパン2つで充分だったのと、これまでの流れを見るに、寝る前に何かを食べられる機会が怪しいので、この時点では食べずに、晩飯にした。
また、パン(Bread)につける蜂蜜とチョコを1個ずつ非常食として(黙って)貰って行く。
パン、パン、パン! 旅行者として恥ずかしくないのか!








ヘンリエッタに続いてトリエラのFigma発売されると期待していたのに……

食べ終わり小休止。
ホテル(Orange駅)からThéâtre antiqueまで地図上では約15分弱。
ほぼ直線だが、未知かつ方向音痴なのもあるので、下見に。




勇気一つを友にしてもといヒックとドラゴンの最後ばりに、真に快晴。


翌朝に撮影したOrange駅
昨晩は、原案と違いTGV(電車)ではなくTaxiで来たのでOrange駅の様子も確認しておく。
駅内には自動販売機があって、水(500ml*2本)を確保した。


ユーロ通貨の不合理

ところで、以下の画像はユーロ通貨である。
吾我は50eur以下しか持たなかったが、ここでユーロ通貨に文句を言いたい。

フランスの通貨ユーロ EUROの種類

何故1eurと2eurを1eur未満のCentと同じ硬貨にして、1桁の5eurを紙幣にした。


自動販売機では紙幣を使えず、硬貨だけ。
更に、硬貨を1枚ずつ入れなければならない。
かつ1桁Cent(1centだけ?)は使えない(日本も1円と5円は使えないから似たようなものだが)。
どうして1eur以上を紙幣、あるいは10eur以上を紙幣にしなかった。
EurとCentをぱっと見で区別できず必要な硬貨を出すのに手間取る。

日本の自動販売機は素晴らしい。
紙幣にも対応している。
翌日、帰りのCDG(空港)にて自動販売機で何かを買おうとするも紙幣を使えずに立ち尽くす旅行客を数人見て、うんうんわかるぞ、とニヤニヤしていた。


前後するが、ホテルで出入口の脇に窓ガラス(壁)で区切った簡単な待ち合い室があるのだが、そこで外に出ようと地図を見ながら歩いていたら、扉に手をのばしたつもりが窓ガラスで開かず、そのまま進んで頭を窓ガラスに打つ、という古典芸能-第2弾。
それを、そこでくつろいでいた60代くらいの白人おっさんに見られて、おいおい大丈夫かそっちじゃなくてこっちだよwww……と正面じゃなく裏口を指しながら笑われた。

観光写真

持って行ったレンズはCanon EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM APS-C対応の旧世代とCanon EF50mm F1.8 STM
ほとんど前者で撮影した。







































Harley Quinnみたいで笑った。



正面に見える壁がこれ






時間を変えて往復してたのだが、メーヌ川の橋にある像に、最初はコーラの空き瓶だけだったのが……そこを歩くたびに……増えてるw






車道脇の歩道を歩いていると、車の窓から頭をだした12歳前後の白人男子から「Yehhhh」と手を振られた。

広告









道中、ちょくちょく壁や窓に今回のLive広告が貼ってあった。

Theatre Antique










イタリアじゃないので車椅子の男はいなかった。
……冗談はともかく、この旅行で車椅子を凄く見た。
凄くと言っても、1日に1to2人程度なのだが、そういう環境や知人にでも居ない限り日本では1日に1人も見るか見ないかだと思うのだが。
介護関係が充実してるのか、自立心の高さからなのか。
ParisもOrangeも道が広くて比較的に平坦というのもあるだろうか。







壁面にそって左(東)に進んで行くと、蝙蝠の絵がついたトラックを見つけた。
もしかしてダークナイト絡みで専用塗装されたスタッフ車両か?
……と思ったらflybyniteという偶然こういう絵柄の運送会社だった模様。
いずれにせよ、Live関係ではあった。


この日は、ずっとLiveのTシャツと帽子をかぶって動いていたので、1段落ついた様子のスタッフ写真の真ん中にいるハゲにHelloと挨拶して、吾我のTシャツを指してI'm come Here!と声をかけてみた。
あっちからすれば「知るかよwww」だろうが、テンションは高くないけど、丁寧に……
「Oh……どこから(いつ)きたのか」
『Japan. I come at 2days Ago in France』
『May I take Pictures? Tonight Live?』
「外は撮影していいけど中は駄目だよ」みたいな事を2to3だけの簡単なやりとりだが身振り手振りで相手してくれた。
実際には撮影禁止ではなく、iPhoneなどの撮影は黙認で、一眼レフは荷物検査および上演中に発見次第、没収だった。
最後に「Say It in Japanese」(早くてSayとJapaneseしか聞き取れず間違っているかも)「ARIGATO」と言ってスタッフは中に入り作業に戻った。


昼食は道中で買った5eurのKebab。
値段は日本と変わらないが、量が日本の倍近くあり、1度で食べきれずに、これも晩飯にした。
店で注文品が出てくるまで待っていたが、暫くして店主から「オラァ!」と声をかけられた。


実際には怒鳴られたわけではなく、Holaオラとは仏語の間投詞で日本語の「おい」や英語の「Hey」に当たるらしい。
食べるのは……おれのケバブだッ!
商店街の雰囲気が良いので、車徐けに座り食べる。
2to3時間ほっつき歩いて、1度ホテルに戻る。


部屋に戻り、簡単に明日の確認。
画像は6月4日に確認したStrike情報だが、結局5日(Date)も似たようなもので変わりない。
Strikeを避けられないとして、現場ですぐに動けるように、Please Tell Me The Alternatives……など必要と思われる英文を書いたり翻訳させたりで準備をした。
少なくとも、現場で幾らかの代替があるのはこれまでの経験でわかったので、代案の有無ではなく、代案の具体的で細かい要素を聞けるような英文を用意した。




この1日だけは自由とは言え、Strikeと自分の間違い両方を想定した準備を帰りにも必要なために、ホテルに居るほうが情報確認のために緊張して落ち着かなかった。
例えば、前日、寝る前に翌日(5日=Date)にやるべき事を書いて貼っておいたり。

ところで、ホテルのWiFIも試したが全く繋がらず。
実質あって無いようなものだった。
このホテルの唯一の欠点。


それと、電源Outletが洗面台脇に1つしかない。
予め海外コンセント変換プラグを買っておいたので使用に問題は無いが、Franceに限らずホテルの中央値的な電源Outletの扱いを知らないが、1個はあまりにあまりじゃなかろうか。
近年ではパソコンやiPhoneなどで利用者が増えてるぶん、提供側からすれば、どう扱われるか不明な点で避けたいのもわかるが。
水まわりなので、iPodなどの充電で放置も怖い。
このホテルの唯一の欠点(唯一とは言ってない)。


そういえば、ホテルのエアコンが、うちで使ってたのと同じDaikinだった。
およそ1万kmを飛んできた先で目にするとは思っていなくて笑った。

柳家小三治

調子に乗って歩き回って疲れてLiveに乗り切れないのも馬鹿なので、1時間ほどベッドで横になる。
かといって、熟睡するには短く、無行動には長い。
英語と仏語に囲まれて脳が疲弊しきっていたので、集中せずとも良い内容の日本語として柳家小三治を流して横になる。


この旅行を決める前に、外国旅行(めりけん留学奮戦記)を娯楽として聞いていたが、1990年の録音なので具体的な何かではないが、心構えとしては多いに参考になった。
現場における体裁に勝る必死さとか。
Orangeで聞いたのは、英語も仏語も海外事情も無関係な玉子かけ御飯収録の駐車場物語
帰国後、8月14日に東京でやる柳家小三治/柳家三三/親子会のTicketも無事に入手。


この日のため、という程ではないが、iPod Touchだと常に画面を見て操作しなければならず、かつ1度Sleepから起こしてから操作、と2段階の操作が必要なのに苛苛していたので、SonyのWalkmanNW-A25を買っていた。


操作性や連続再生時間など恩恵はあるも、悪いこともある。
特にホストがMacだと、iTunesから曲を投げても、WavやAiffなど不可逆圧縮の音源のタグを認識しないのでmp3やaacと違いアルバムやアーティストなど区別せず曲名(ファイル名)しか認識しない。
iPhone層を取り込みたいなら、iTunesのxmlとかを認識して、ほぼ遜色ない管理を可能にしやがれください。
スピーカが無いので、ヘッドフォンを着けずに脇に置いて流していた。

HANS ZIMMER Live on Tour in ORANGE(FRANCE)

ホテルから会場までの道程。



下見の時に、北に面する正面入り口を覗いたら、CLAMPアニメ美少女ばりに、お前ら飯をちゃんと喰ってるのか言いたくなるくらい長身細身(175cm以上体重53kg前後?)の美女が3人いて、その内の1人(金髪)が声をかけてきた。


実際には髪が肩に届かない程度の長さ
吾我(Myself)のTシャツ指してis This……と聞くと、Oh……午後7時頃に開場予定でまだやってないよ……みたいな事を教えてくれた。
正直、時間以外を聞き取れなかった。
ここの職員3人がチャーリーズ・エンジェルをやってたら買ったのに。


下見じゃなく再び正面入り口に来た時に知ったのだが、ここはEntree1で、吾我はEntree2で、入場管理スタッフに、下見の時にスタッフと話した場所の方向を指されて、あっち行って右だよ、と教えてもらった。
身振り手振りさえあれば、Rightの単語さえ知っていれば問題ない。
教えてもらった先に行くと……


1つの出入り口に2股の行列があり、1つは似た服装の集団だったので関係者かTour客と判断して、より長いほうの行列にいた夫婦と成人娘の3人と思われる家族にThis is Entree2 ?と聞いた。
帰国後に知ったが、行列をLineと言うらしく、この場合にはWhats is The Line for (the)Entree2 ?……とかで良かったのかな?
他の客達も実際のとこよくわかっていないらしく、吾我のTicketを見て多分そうだよ、みたいな曖昧な感じだった。
我々が混乱した理由の1つとして、Ticketの印刷体裁が複数種類あった事。
自分は紙が赤だったが、青とか白とか席の種類じゃなく購入場所や印刷機に依存してるようで、統一性が無い。
色と言えば初日(#1)で車道信号機の通行は青か緑か問題に言及したが、高橋書店 2016 マイダイアリー B6 No.24の6月30日に当初は法令上「緑」だったが、一般的に青信号と呼ばれていたとある。
知らなかったよー信号機がこんなに青いとーはー。

その後、娘の彼氏が合流して、彼氏が自分達はあっちだよ……みたいな会話をして、この4人は列を離れたが、離れる際に吾我のTicketを見て、あんたはここで大丈夫だよ、とわざわざ確認してくれて去って行った。

開場まで待っていると、Liveとは無関係で道路を歩いていた1人の白人女(50代)が、歩きながら我々行列に向かって何やら仏語で喚いていた。
何を言っているのか全くわからなかったが、並んでた1人のおっさんがRacistと言ってた。
それを聞いて吾我は笑っていたが、世界遺産とは言え周囲には幾らか一般住宅もあるだろうし、行列やら騒音やらで苛立つのもわからなくもないな、とも思った。
もっとも、およそ2000年前からある建築物(観光名所)近くにわざわざ住んでいるのだから、自業自得とも言えるが。

徐徐に行列が進みだし、前にいた夫婦(50代)の夫が、妻の肩口にTicketを上下にさすって促すも、妻は出入り口か何かを見ているのか微動だにせず、20秒くらいそれが続いていた。

https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjDusBd877UWLX2iYjzyicLlyBAPA4hPc9ZCMO1J5ZOo8vT45R2moY9optXdze0RjlXsS3wK-NmBKNi6q87W6UdZi4lP2627XL-HEW8pLbeZcmou_2Hs0HTJellsbx4pEb_OhQyvL7KfV4/w640-h480-no/

その様子を見て吾我が笑っていたら、夫のほうがこちらにむかってやれやれだぜという感じに冗談めかして笑うかえしてきた。

入場の荷物検査は厳しかった。
特に、飲み物の持ち込みは一切駄目。
単純に中で買えって事なのかと思っていたが、帰国して欧米の警備事情を確認したら、液体は現場で判別不能なので問答無用らしい。
駄目もとで一眼レフを持ってきてたが、預かり品にされてしまった。

……とは言え無事に入場。
所所に誘導員がいて、誘導員AにTicketを見せたら上だと教えられて進んだら誘導員Bに下だと教えられ、この階段を往復させられた。


2/3階なのに3/3階に行っていたようだ。
通路から観客席場に出られたが、今度は座席がわからない。
  • Entree 2
  • Zone A
  • Rang 3
  • Place 28
Ticketには以上の情報が記され、Rangが縦軸、Placeが横軸の座標(座席番号)なのだが、Entree2は座席側の入り口で、それぞれの番号は会場側からじゃないと見えない。
何せ椅子ではなく石が並んでいるだけなので、管理的な加工がほとんど無い。


森博嗣の小説で、コンクリートの耐久実験で複数のコンクリートに番号を書いて数日放置するも、コンクリートに書いた文字(インク)の耐久度を失念していて、数日後に文字が消えていた、なんて話があったのを……今は夏6月、吾我はそれを思い出す。
席を探すのに必死で、吾我以外にも人が行き交い、見下ろした写真を撮影する暇が無かった。
オランジュの古代劇場 Théâtre antique d'Orangeで見られる空撮
吾我の席はRang3-Place28。
図示すると以下である。


Gladiatorを歌ったCzarina Russell撮影した客席の写真だと、こ↑こ↓



当時、勢いで買って行けなくても良いやと思っていたS席だが、思ってた以上に良い席だった。
舞台から距離15mくらいで、舞台目前の関係者席と違い見上げる必要がない丁度良い高さ。


実際には舞台を見ると照明は全く視界に入らない距離だった。
見渡すとこんな感じ……






私は今、この素晴らしい眺望を前にして……


例え記録商品化されても未収録は確実な現場の出来事として、石壁があるとは言え屋根が無いので、開演前に風でDrumsのPartitionが倒れてスタッフがあくせくしていた。
2004年8月11日から9月1日まで来日公演したキャバレー/CABARETを見に行った時は、Drumsが生だったのにPartitionが透明じゃなく、生音は聞こえるのに姿が見えないという寂しい感じだったのを思い出した。
透明Partitionが業界標準になったのはいつ頃なのだろうか?
光学壁ではなく音響壁なので前者よりも厚みや重さが必要かつ透過する素材と頑丈さの両立で具体化するのが困難だった筈だ。

開演は2000pm予定だったが、10分20分と過ぎても始まらない。
2030pm頃に演奏者の一部が入場して拍手が起こる。
しかし、そこからまた5分くらい何もない。
すると、突然歓声が聞こえる。
舞台は何も変わらず、後ろから聞こえてくる。
見ると、最上階の連中がなるしかない このビッグウェーブにと中中に始まらない舞台を煽り始めた。


こいつら桜塚守サクラかと疑うくらいだった。
その波は他へとうつり、撮影は出来なかったが、既に入場していた24人のChorusも舞台上で波を打ってみせた。
このChorusが後に、ある1人(右から10人目)と、全員とで、音楽以外の要素で非常に盛り上げてくれるのだが。

Program

曲目は以下。
販売されたProgramに書いてあった曲目と、実際に演奏された曲目。
  1. Driving Miss Daisy
  2. Sherlock Holmes
  3. Madagascar
  4. Crimson Tide
  5. Angels & Demons
  6. Gladiator
  7. The Da Vinci Code
  8. The Lion King
  9. Pirates of The Caribbean
  10. True Romance
  11. Rain Man
  12. Man of Steel
  13. The Thin Red Line
  14. The Amazing Spider-Man2
  15. The Dark Knight
  16. Interstellar

Live Performance

Programに無い曲(作品)を強調表示してある。
  1. Driving Miss Daisy
  2. Sherlock Holmes
  3. Madagascar
  4. Gladiator
  5. Thelma & Louise
  6. Rain Man
  7. True Romance
  8. BlueGlass//Driving Miss Daisy/Sherlock Holmes/Madagascar/Going For Gold
  9. The Da Vinci Code
  10. The Lion King
  11. Pirates of The Caribbean
  12. The Thin Red Line
  13. Crimson Tide
  14. Angels & Demons
  15. Man of Steel
  16. The Amazing Spider-Man2
  17. The Dark Knight
  18. Interstellar
  19. Inception
Programよりも3曲(作品)多かった。
最後のInceptionはEncore。
Hans Zimmer Concert Setlist at Théâtre Antique d'Orange, Orange on June 5, 2016を参考にした。

先に結論だけ書いておく。
これは音楽ではなく、自然災害の類だった
それが正直なところである。
Driving Miss Daisy
DrumsのHHで4拍子のRhythmが取られる。
開演前までは煽りか確認かLFEが流されていたが、演奏が始まると、まさかの低音を外した始まり。
そのRhythmを背景に、Hans Zimmerが入場。

吾我はこの映画も曲も知らなかった。
いきなり木管の軽快から開始。
しかし、DrumsがKickを踏むと、Partitionがあるが、それでも吾我の席だとスピーカじゃなくDrumsの生音が聞こえて、かつスピーカからのKickが合わさり、踏まれる度に胸が音にどつかれる。
Sherlock Holmes
最近の作品だし、近々最新作もあると言われてるのに、意外と扱いは小さかった。
Youtube見られるものはカメラのマイクがしょぼくて低音を拾えていないぶんスラップベースの音も聞こえるが、現場では、吾我の席では音程というよりも低音の集合が間断なく全身を襲う低音飽和と言うべきか。
もともと低音が売りの作家であるが、Bassに対してTubaがいるのは管弦楽的には当然だが、エレキベースがいるのに、更にウッドベース(Upright Bass)がいて、しかも時にLFE(12音階に限らないBass以下の低音)まで混ざり、DrumsのKickとPercussionのLowが同時にズンドコ。
楽譜としては間違っているが、印象を伝えるとすれば以下のような感じ。
上2段が本来で、下2段が体感。


この曲は、長音じゃなく8分や16分を基本とするRhythm音楽で、まだ隙間があるほうなのに、ラヴォス白面の者が同時に目覚めて真竜の戦いを始めた脇で狛と虎が無空波を打ちあい隣ではガッツとゾッドが斬り合っているのを絵本入りこみぐつで見に来たかのよう。
しかし、合奏の音程はしっかりしてるので音程として感じられないのに不協和音の不快はまるで無かった。
また、あれだけの音量で何人かは舞台上を移動したり、あるいは舞台からおりて演奏もしてたのにハウリングは1度も無かったし、低音に対抗した高音で耳がおかしくなることも無かった。

最後のBreak後にHZが弾くテンテレテン……が歓声で聞こえなかった。
映画2作の内、1はDm、2は半音上でD#mなのだが、今回のLiveは前者Dmだった。
そもそも、どういう理由で半音をあげたのだろうか?
Madagascar
感動の種類や意味は1つではないが、吾我が今回で真っ先に思い浮かぶ感動はこれ。
この作品は知っていたが見てはいないし聞いてもいない。

ここで上着を脱ぐHZ。
58歳のおっさんが脱いで、それにわく歓声。
というか我々だった。

サビに入る直前に、24人のChorusが一斉に立ち上がり、そして手拍子


好きな曲、好きじゃない曲。
知ってる曲、知らない曲。
これらを問答無用の編成や演奏や音響で聞かせてほしいから、ここに居るのだが、照明など装置以外で、演奏者達による音楽を盛り上げるための音楽以外の実演を見られるとは。
この一斉起立と手拍子を目の当たりにして吾我はぼろぼろと泣いていた。
泣くような類の曲でも無いのだが。
超時空七夕ソニックの時は、ワルシャワフィルの登場が約束はいらないの間奏からという、思い入れのある曲での演出に大興奮だったが、音楽というよりも状況の直中にいる感動という点で同じでありながら、知らずに思い入れが無い曲で同じ感動を得る、という面白い状態だった。
帰国後にサントラを聞いてみたが、これを現場で経験した後だと、地味すぎてまるで感動できなかったw
この曲までがMedley。
Gladiator
ここでMC。
とにかくMCが長い。
挨拶を含めた1回目なのもあり、5分くらいずっと喋っていた。
帰国後に動画を確認したら5分程度だったが、現場では10分くらいに感じた。
合計では、休憩を除く約3時間の内15分くらいは喋っていたのではないか?
吾我にとって1生の思い出の1つである超時空七夕ソニックではMCも休憩も無くぶっ通して、最後の最後に菅野よう子が今日は皆さん平日にもかかわらず、こんなにいっぱい来やがって、どうしてくれましょうかとは対照的だった。
仏語で挨拶するも、すぐに言葉につまってしまい観客から「English!」と言われていた。
自身(Himself)で「Typical Zimmer Style」と言っていたのに笑った。

歌→火星→歌。
これまでの爆音に釣られてか、上空に鳥が集まりピイピイと鳴いていた。
Czarina Russellが歌ってる後ろ……上から聞こえる鳥声が、雑音どころか意図した効果音のように雰囲気を増長していた。
火星こと戦闘曲は、わけわからん低音飽和じゃなく、ちゃんと曲に聞こえた。
Minecraftで小麦畑を作ると本作を思い出すのだが、マイクラも映画みたいに剣を投げて攻撃できたら良かったのに。
作品によって2to3分だったり10分以上だったりまちまちだが、これは歌と器楽の両方で構成されていて、知名度なのか思い入れなのか、えらく扱いが良かった。



Gladiatorは今回の舞台ローマ劇場/Théâtre antiqueが出来て約100年後を描いている。
2000年後の今からすれば同時代とも言えるし、実際に地続きではある。
Hans Zimmer自身もMCで、この舞台で出来る事への感動に言及していた。
Gladiatorに限らないが、アレクサンドロス3世(エウメネス)のヒストリエ闘獣士 ベスティアリウス(85年)、ヒュパティアアレクサンドリアなど、見たり読んだりしても、ほぼ同時代の同場所という漠然とした認識だ。
実際には700年のひらきがあるのだが。
Thelma & Louise
この作品は知らなかった。
E.Gtrでしっとり。
これや次曲もだが、HZはもともとシンセを中心としたフュージョン系の作家で、この2曲はサントラというよりジャズフェスティバル的な乗りだった。
Rain Man
もはや若年には通じないだろうが、彼を有名にした作品。
Madagascarでは乗り乗りだったのに、しっとりで無伴奏のソロでピアノをミスってたwww
中田秀夫が自身の経験からまとめたハリウッド監督学入門にHans Zimmerも出演していて、本作がアメリカで受けたのは、音楽である自分とDoPが渡米した人間であり、アメリカ国民にとってありふれた事を新鮮に描けたから、と語っている。
True Romance
映画も曲も知らなかった。
何故かMarimba2台という無駄に贅沢な構え。
HZがTimpaniを叩いてた。
BlueGlass//Driving Miss Daisy/Sherlock Holmes/Madagascar/Going For Gold
吾我にとって1番に楽しかった曲かもしれない。
演奏前に、HZが、今からの演奏は自分も何をやるのか知らない、と前振りをして、ほぼ1コードの単純な伴奏に2人のViolinが演奏。
Driving Miss Daisyのメロが演奏されるとHZは身をよじらせていた。
Sherlock Holmesはもともと短調だが、こちらは長調だった。
最後に急に歌うよで驚いたが、帰国後も、この1曲だけが知らずにわからなかった。
今回の記事を書くにあたり突き止めた。
Going For Goldという1980年代のクイズ番組のテーマ曲であった。
HZがRain Manで有名になるのは1988年
その前年、ほぼ無名時代と言っていい頃の曲。


今になって思うが、そういうのもやるなら、個人的にはHigh Incidentもやってほしかった。
日本でも一部放送されていた1996年のドラマ。


警官の現実的で地味な出来事を面白おかしく仕上げた群像劇。
日本でいう踊る大捜査線のようなものだが、あれよりもバラエティ的な笑いはなく、かといって重くもない。
吾我はこれでDavid KeithMatt Cravenを知り、後にデアデビルの父親で笑い、ライフ・オブ・デビッド・ゲイルX-MEN: First Class で見かけるたびに笑ったものだ。
これの翌年に踊る大捜査線は始まったので、あるいは影響を受けた1つだろうか?
踊る大捜査線も当初11話までは名作だったのに。
映画以降から知って映画以降を面白いとか言ってる人間は天地万物の正義をもちて微塵とせむ
1996年当時はHans Zimmerという名前を認識していなくて、この曲は漠然と好きだった。


翌年の映画The Peacemaker/ピースメーカーも、当時ER 緊急救命室を大好きで見ていて、後にThe West Wing/ザ・ホワイトハウスジョシュ役のBradley Whitfordがゲスト出演した回生と死とを演出したMimi Lederが、同じくER 緊急救命室で人気となったGeorge Clooneyと組んだという理由で見ただけだった。
思えば、この作品でHans Zimmer節というのが決定的になった。
映画は1997年の作品で当時は売れたが今じゃ誰も話題にしない残らなかった作品にも関わらず、アメリカではHZ作品として根強い人気があるのか、17年後の2014年2枚組のサントラ完全版が発売された。
そんなわけで、High Incidentはマイナ故に個人的な願望で。
The Peacemaker/ピースメーカーはHZの名前で再燃した曲として、是非とも生で聞きたかった。
今回の編成はクラシック的な編成じゃなくStrings*14やTuba*1など管弦楽としては大きくないが、それでもHornは4本と充分な数だっただけに、是非とも実現してほしかった。

Going For Goldが終わってからAleksey Igudesmanが入場してVamp。
彼はIGUDESMAN & JOOという2人組で音楽能力を駆使して音楽以外の見せ物にも積極的で、HZを知らずに彼を知ってる層もそれなりに居るのでは?

舞台中央にSatnam RamgotraのDrums……彼は、Drums10台の同時録音という頭おかしいMoSに参加した1人。
サントラCDではDynamic Range不足で10台相当の音質ではなかったが残念だったが。
両翼にLucy Landymore(facebook)とHolly Madge
向かって左がLucy Landymoreで中中にエロい写真をあげてる。
向かって右がHolly Madgeで中中にエロい写真をあげてる。
一連の最後、全員が屈伸から跳ねて終わるのだが、Holly Madgeだけ間違えて無刀陣ぼったち


この時間、HZは全く演奏せず。
今回のLive、名目はHans Zimmer個人名義ではあるが、彼は作家というよりProducerだった。
それぞれ曲目ごとに演奏者を紹介したりMCで長々と話したり。
実際に、Rain Manでも明らかで彼の演奏は怪しいw
溝口肇/大人の上質でもハリウッド式の人海戦術、曲の種類でそれぞれ得意な作家を同時に使うのが望ましいと書かれているが、現場ほどそういった事に抵抗がなく、作業よりも判断の難しさを自覚してる故の自負というのもあるのだろう。
The Da Vinci Code
これは流行した当時は見ずに、10年後くらいにHZの音楽を目当てに見た。
しかし、どういった曲だか印象に残っていない。
演奏前にMCで客席の中に誰それがいて、その人に捧げるみたいな事を言っていたが、吾我は全く聞き取れずに言葉よりも言動と観客の反応で何となく。
前曲のBlueGlass Medley演奏前に、Ann Marie Calhoun(Simpson)ViolinMike EinzigerGuitarを前に立たせて、2人が結婚したのを発表してた。
だから、またそういった絡みなのかな、と思っていたが、後に動画を見たらHowerdと言ってるから、業界的な関係者なのだろうか?
演奏後にHZがWe Love Youと言っていた。
The Lion King
この頃には照明が無いと舞台が見えない程に暗くなっていた。
前曲の終わりに照明が落とされ暗転。
突然に暗闇から響く声……
Naaaaaaaaaaaaaaaaaaaaants
観客はすぐに察してわいていたが、吾我は何の曲か一瞬ではわからず、ただ善く通る声に目を見開いてるだけだった。
Lebo Mに照明が当たり、同時に漸う曲を把握。
当時と同じ彼が歌ってる事にも時差で気づいたが、つまり、彼はもう20年以上これを歌い続けてる。
もう歳だというのに、現場の興奮もあって、第1声からして善く通ると感心していたのだが、帰国後にサントラとLiveを比較したが遜色ない声量だった。
それを感じられたという事は、吾我の席でもTutti(飽和低音)でなければ、いずれの楽器も音域も充分な音響であったという事。
もう1つ驚いたのは、52歳ってLebo MはHZよりも歳下だったのか。
年齢と言えば、かなり高齢の客もいた。
60代70代と思われる男女もいて、ここ10年くらいで顕著な大編成爆音の作家Liveに高齢が来て大丈夫か?と心配になった。
一部にはDisney作品もあるので、10代の子供もいて、同じ理由で心配になった。

さて、ここの主役はもちろんCircle of Lifeを歌い上げるLebo M……ではない。
右から10人目の男Chorusがもうやばかった。
ちょくちょく、1人だけRhythm取りが大きいな、と目立ってはいたのだが、出番が無く座っている時は、ちゃんとおとなしくしているのに、それだけに1度でも動きだすと、Lebo MBuyi Zamaが歌ってる後ろで、まるでワンマンライヴのように右手を振り上げてたり主役よりうるさい主役面……お前は宮野真守か。
これが上から見下ろす席だと縦視界が狭くて目に入らなかったり、遠いと中央に注目するから気にとまらなかったのだろうが、吾我の席からだと主演がいる後ろにばっちり目に入るので、もう彼のほうにばかり気がいってしょうがなかった。
Pirates of The Caribbean
TrbもHornも厚みとしては充分に聞こえたが、所所メロを担うところで、低音飽和の中では小さかった。
Horn*4にTrb*3なのに贅沢な話だ。
飽和と言えば、サビ終わりのOutroがやばかった。
サントラは4枚も出てるのに、テーマ曲を収録してるのは2枚だけで、1枚目は最初なのでまだ探ってるところがあり、3枚目に収録されてるほうはミックスかマスタリングのせいか音質が今いちで、実は曲の知名度に反して、言うほどやばい音質で聞けないのだが、それだけに、この曲に限らず生でどれだけのものか聞けたらと思って来たのだが、もうサビからしてメロをかろうじて聞き取れる程度の音というか振動。
そして、サビ前は歌っていたがサビからは歌わずに立っているだけのChorusだが、歌ってないのに腕を振って乗り乗りの例のChorus Man
TuttiのOutroはもはや説明不能。
すげえとかやべえとか、もはやそんな事も言えずに音に押し倒されないように踏ん張るだけで精一杯の不立文字
この瞬間だけは、もう感動というより早く終わってくれ帰りたいという気持ちにすらなった。
これが音楽ではなく自然災害の類と言った所以。
それほどに彼を代表する曲であるし世代をまたいだ人気もあり、実際に、後日の人気投票で前半1位、総合2位だった。

演奏が終わり大歓声。
終わってしまえば、台風なんだか地震なんだか音楽なんだかよくわからん吐きそうになるくらいの何かをしのいだ興奮で吾我も歓声にまぎれた。
めでたし、めでたし。

HZ「See You 20 minute!

………

……



は?

あの作品やあの作品をやってない、という認識はあったが、それでも充分な時間と演奏に満足してたせいか、実際にバリバリに盛り上げて正直もう疲れ果てたくらいだったので終わった気になっていたら、まさかの2部構成。
クラシックだと珍しくもないが、こういった個人名義のLiveでこれを予想していなかったので、全く喜ばしい事であるのに、思わず「まじかよ……」と声をあげてしまった。
そんなわけで、20分休憩。
上演が開始された2030pmから約2時間、2215pm頃だった。

世界遺産であるため、合理的な改築を出来ないせいか、トイレはキャンプ場や災害避難場所にあるような仮設トイレを並べたもので、男女共用だった。
思い出すと、この旅行で男女別トイレを利用したのは帰りのCDGだけで、航空機はおろか、公衆トイレ、TGV車内、ホテル、ここローマ劇場、と男女共用だけだったが、まさかFranceはAlly McBealよろしく男女共用トイレしか無いのだろうか?
旅行ゆえの偶然だろうが。

座席は椅子じゃなく石なので尻が痛くなっていた。
周囲を見ると、特に女性客は小さな座布団を持ってきてる人もいた。
随分と場慣れている客が多かった。
The Thin Red Line
当時はよくプライベート・ライアン(SPR)と比較され、SPRよりもHardであると評価されたものだが、現在では同時代の似た作品なのにSPR1強である。

最初、演奏が始まった時にInterstellarかと思った。
同じ音源と同じ演奏者によるから当然ではあるが、Closed HHの代替に時計秒針のような高音打楽器音色。
Keyこそ違えど相対的にはThe Dark KnightやInceptionなどのテーマ前の煽り部分と同じコード進行。

この記事を書いている時に気づいたが、演奏開始を示す暗転の中で赤い小さな点がいずれ水平線となり波となる、という照明の演出は、つまりThe Thin Red Lineだったのね。
幻想的に見せてるが、曲調が泣かせにきてるのに赤1色だけで視覚的にきつく噛み合ってないな、と当時は思っていたが、明確な意図だったのか。

演奏終了後に照明が白く明るくなり、HZがJohnny Marrを紹介。
今回Orangeに出演するとは知っていたが、
出国前に、事前に購入していたProgramの曲目にInceptionが書いてなくて、Johnny Marrが出演する回だけの特別枠なのかな…と話していたが、違ったようだ。
Crimson Tide
演奏前にMC。
2012年に死んだ(自殺)Tony Scottの監督作品で、彼に言及していた。
次のAngels & Demonsとまとめて紹介してMedley。
今回、時系列やシリーズも無視したMedleyが多かったが、どういう意図なのだろうか?
例えば、The Da Vinci CodeとAngels & Demons、近しい時代の似た作品としてThe Thin Red LineとCrimson Tideなど。
Angels & Demons
これは見ていない。
シリーズなのにThe Da Vinci Codeの後じゃなくCrimson TideからのMedley。
映画を見ていなかったのだが、7拍子の地球共鳴的なえらい厨2曲(160 BPM)が来たなあ…という認識だった。
これはChorus曲でもあるのだが例のChorus Manヘドバンやりはじめて、実際には言うほど酷いものでもないのだけど、他の23人がいかにもBack Chorusとしてわきまえた起立なので、もう笑わずにはいられない。

今年10月には第3作目のInfernoが日本公開予定。
Man of Steel
サビの部分でピアノからシンセに席をかえたHZだが、32分音符のStringsと打楽器と長音で埋めるE.Gtrで飽和してたので、どの音に変わったのか全くわからなかったw
それにしても、今後も一生機会が無いのだろうが、Drums10台の生を聞いてみたい。
The Amazing Spider-Man2
この曲の異様さは、生のほうがよく出ていたのだはなかろうか。
サントラだと、エレキやシンセを中心とした奇麗に整理された強い音が中心なので、曲調よりも、いつものサントラという印象のほうが強かったが、木管の不気味さがサントラよりも立っていた。
Rapをやってるのが、誰あろう例の男Chorusなのだ。
曲調のせいか、彼のせいか、何に触発されたのか、もう1人Rapをやっていた女Chorusも、この時ばかりは挙動がノリノリだった。
The Dark Knight
演奏前に、暗転してる舞台から……
The Last Time…The…DARK…KNIGHT
とHZがバットマン声っぽく曲紹介をしてたのがおかしかった。

事前にOrange以外のLiveをYoutubeでちょっと見ていたが、舞台背景に蝙蝠が飛ぶ映像が流れていたのだが、ここは現在の舞台装置じゃなく大きいとは言え石の集合でしか無いので、割り切って何も無いのかなと思っていたが、画面じゃなく照明単体での演出だったので、Orangeでも同じ演出が見られた。
全体に言えることだが、映画本編の映像を流さなかったのは良かった。
権利とかの問題だろうが、映像があると気をとられて出演者に集中できないし、映像が無いからこそMadagascarの手拍子やBlueGlassの踊り演奏など現場での些細で決定的な楽しい演出が行われたわけだし。
しかし、映像が無い故に照明が重要で、吾我の席が近かったせいもあろうが、ただ演奏者を照らすだけじゃない照明演出がポケモンフラッシュのようできつかった。
Pirates of The Caribbeanではサビ前の煽りに七色の照明が素晴らしかったし、七色の千羽鶴を思い出して笑いもした。
しかし、打楽器の動きにあわせて短い間隔の点滅は本当にきつかった。

同じく事前にLike A Dog Chasing Carsもどんな感じか知っていたが、この曲はKickのようなAttackの強い打楽器じゃなく、Bass DrumのようなAttackが曖昧だが響く低音打楽器による良さで成り立っており、更にPops的な編成の今回でやすっぽくならないか、など不安だったのだが、杞憂だった。
つまり、これまで散散に言っている自然災害的な低音飽和なので、もはや音色が入る余地がない。

1つ残念だったのは、BATMAN Beginsのエンドクレジットからテーマ曲として扱われているDm 4つ打ち箇所が無い。
そもそもBatman Begins OSTに未収録の時点で、HZにとって意味の無いAdditional Musicだったのだろうか?

デシデシバサラバサラをHZが歌いChorusをうながすという形だったが、観客に歌わせるつもりだったのか……しかしデシデシバサラバサラという流れからデシバサラデシバサラなど変化して、あらかじめ流れを知っていても素人には無理だ。
ただでさえ5/4拍子を基本とした変拍子なのに。
去年坂本真綾が観客に歌わせようとして失敗したのを思い出した。

ここのMCも長かった。
昨年のParisテロも含んだ内容で、Heroや音楽の意味、Libertyのために出来る事、などなど。
The Lion Kingの時にMCでLebo Mの境遇に触れて泣きそうになり言葉につまった事があったが、自己演出というよりも、加齢による社会意識や金持ちとしてのNoblesse Oblige、そして作家というよりも音楽的に自由に選択出来るような特権を持ったProducerの1人して異なる人種をまとめてるという自負や個人的な何某があるのだろう。
Interstellar
これは作曲や編曲よりも、建築物と同化した楽器Pipe Organの問答無用な音で成り立ってるので、ここに来る前からLiveだとシンセなのは明らかでどうするのか、と思ったが杞憂だった。
Pipe Organ自体が特徴的な音色で存在感があるのもだが、全体の音響が教会が意図するそれに近い。
創造と神秘のサグラダ・ファミリアBach/Jordi Savall/Messe En Si Mineur(ロ短調ミサ)を聞いた時に、これだけの音響を聞く機会が自分の状況と状態に噛み合ったら、そら宗教に属するのもわかるな……と。
HZをProducerと評価したのも、それで。
Interstellarの音楽は編曲的には手抜きも良いとこ。
音がしょぼいほど、例えばファミコンの曲が素晴らしいのは、音色と和音に限界があるからこそ編曲で工夫しているから。
近年だとShovel Knightがわかりやすいが、音が動く動く。
対して、HZ(を含む一部の映画音楽家)は編成も音色も選び放題。
故にThe Dark Knightあたりから顕著で、問答無用の編成や音色や音響を使えるなら、メロは不要だしUnisonでいいんだよ、と言わんばかりの編曲的単純さ。
そらDrums*10とか、Horn*6+Trb(T)*6+Trb(B)*6+Tuba*4とか出来るなら小細工は無用とは言え、頭おかしい。
サントラ(16bit)を聞くと全く持て余してるから酷い。

この曲でHZが出演者を紹介して、挨拶して終わり。
舞台は暗転。
Inception
灯台のようにy軸を中心に回転する光。
緩慢に反復して流されるA0(55hz)の低音。
舞台はまだ暗転のまま。
時折、前述の光が走るだけ。
そして、例のBrassがCrescendoで聞こえてくる。
合わせて光が走るのをやめる。

このために呼ばれたと言っても過言ではない、Johnny Marrが照らされ、始まる。
HZはこの時にE.Gtrを持っていて、Brass Unisonの箇所でJohnny Marrと肩をあわせてRockっぽい演出をしていたが、乗り乗りな曲でもないし実質曲調を握るのは中低音の管楽器なので、妙な感じで笑えた。
この作品も、Maikingで見られたHorn*6+Trb(T)*6+Trb(B)*6+Tuba*4を体感するほどの機会は一部の映画館に限られ、サントラ(16bit)では明らかに不足であり、楽しみな曲であった。
まさかに最後にこういう形で持ってくるとは。
映画自体が夢か現か、と言った作品であるし、人気的にも意味的にも最後にふさわしいということか。
本作は映画人気や迫力はあっても、好きになるような類の曲調では無いのだと思っているが、いざ現場で聞いてみると、映像なくともしっかり曲として格好よく聞こえたのが不思議だ。
続いて528491で盛り上げて、そして、最後には、HZのピアノによるTime。
Rain Manでミスっていたので、こんな最後の雰囲気でとちらないかと凄くハラハラしながら聞いてた。

最後の音、ViolinのCrescendoにHZの右手が振り上げられると同時に消音、暗転。

歓声に合わせて舞台が照らされ、出演者の列にHZがハイタッチして歩き、観客に向かってハイタッチのそぶりを見せて、退場。

吾我の腕時計で0000amだった。

Youtube

以下は吾我以外が撮影投稿した動画。
関係者席から撮影されたMCあり(ほぼ)UnCut(Version)


抜粋だが画質と音質が比較的に良いもの。

統計

300(応答)/10000(観客)と1割未満だが、投票結果については、こんなものだと思う。




胸に響く

現場では聞いていてもうよくわからないという事もあったが、後日にyoutubeのしょぼい音を聞いて感動を出来るのは、現場で体験したからこそ。
もちろん、それがわかっているから頑張って渡仏したのだが。
胸に響く。
これは感想じゃなく物理現象。
爆音を馬鹿らしいとは思っているが、同時に、音楽に無関係な記憶装置として、聴覚に限らず体感するというのが重要である。
誰でも任意の曲を脳内再生する事がある。
しかし、実際に音程を確認すると、原曲とはKeyが違うというのはよくある。
吾我も絶対音感を持たずに脳内再生を実音で確認すると半音や全音ずれてるなんてよくある。
しかし、今回の曲を脳内再生しても、そのずれが無い。
つまり、それは聴覚に限らない吐きそうになるくらいの低音飽和を含めた全身による体験による補強もあるのだろう。
音楽や絵画が何の役に立つのか、娯楽に過ぎない、という認識もある意味では正しいが、ただの娯楽ならば作曲や演奏など非効率であり、これほど継続しなかったであろう。
楽器演奏は、音楽に限らない身体能力のために、義務ではなく前提になるような教育というのが必要なのではないか、とも思う。
自己顕示の手段ではなく、読み書き算盤と並ぶ前提のような能力として。

ここ数年で、日本も含めて筋肉への回帰があるように思う。
2000年代からデジタルデータの一般化が始まり、より肉体と精神を乖離させた精神至上主義的な流れがあったように思う。
しかし、インターネットがもはや常識ではなく前提となった時代において、自明である物理的距離こそが決するチカラを改めて認識しただけだったのではないか。
食い物が、環境が、文化が生き物としての人を変える。肉体こそが精神だと云う単純な理屈が解らぬ連中が、世界を壊す。愉しいじゃないか。自然界に存在し得ない音を聴き、自然界に存在し得ない色を視て、自然界に存在し得ない物を食って、その後で人がどうなるのか。塗仏の宴 宴の始末

地震の頻度が音楽に与える影響……というのをたまに考える。
日本人の声が高くて音楽が高音系のほうが受けやすいのは、地震のせいではないか。
ロシアやドイツの代表的な音楽が低音を強みにしてるのも、地震の頻度が少なく、かつ自然への無意識の畏怖を人工的に巻き起こす神への挑戦、あるは神になる行為とも言えるのではないか。

どこでだったか忘れたが、Love Youと叫んだ観客にHZがThank Youと返答していて観客を笑わせていた。
Steffi Grafを思い出した。
偶然だが、彼女もドイツ人だ。

Liveが終わってからThéâtre antique前にある喫茶店でアイスクリームを買って食べてる客が多くいた。
幾ら日没が2130pmの場所とは言え、落ちた後はそれなりに冷えるのだが、連中は意に介していない様子だった。

こうして記事にまとめてみると、結局のところ、海外旅行の恐怖や感動、HZの問答無用の吐きそうになるくらいの音響など、経験した核心こそを何も伝えられず残せずに終わっている。
今回の渡仏は、吾我にとって初の海外旅行であり、あるいは最後の海外旅行かもしれないし、事故やテロに巻き込まれてあるいは死ぬかも、くらいの気でいたので、怪我1つなく帰国出来て間違いなく一生の思い出になっていて、この3泊5日を語りだせば1日潰せるほどの経験であった。

ブログ的には実質終わりで、実際の旅行的には翌日にCDGの飛行機に乗るまで全く油断がならない連続であったが、この乖離こそ、経験の意義と言葉の意味であるとも思う。
書を捨てるのではなく、むしろ知らぬ土地と知らぬ言葉しか無い場所にこそ有効な書を持ち歩く。
それを思い知るのが良き旅か。