2020年12月9日水曜日

坂本真綾の独白フルコーラスを菅野よう子のおかかえミキサーエンジニア薮原正史がミックスしたらどうなるのかEQ分析した結果

坂本真綾の独白PVフルコーラスが公開された。

1コーラスVerが公開された時点で、歌詞やメロや曲調の好き嫌いとは無関係に、この曲は音質が酷いと思い、4小節聞くのも苦痛だった。ピアノと弦カルを中心に、彼女の歌声を除く伴奏の全てが耳に痛い。そこで宣伝動画のために15khz以上がカットされてるとは言え、フルコーラスで商品の音質の傾向は同じである筈なので、今回の動画を使ってEQ分析して、菅野よう子(薮原正史)が坂本真綾をミックスした曲とMatch EQで比較して、帯域の増減を明らかにした。

画像はLogic Pro X の Match EQを使用して独白と以下3曲(Tune the Rainbow,アルコ,虹色クマクマ)で比較した結果。黄色い部分が薮原正史を基準とした場合に独白に過不足な箇所。水平線から上の黄色が不足。下が過剰。

まず注意として、15khz以上の不足は、まともな音質の商品を買わせるために意図してカットしてる帯域なので、ここに音質の是非を問う意味や原因は無い。

さて、厳密な分析の前の第一印象としては、500hzと2000hzが過剰だというのが自分の判断。結果的にそれは正しかった。少なくとも薮原正史ミックスが条件ならば。

同じ箇所でも1コーラスVerや2コーラスVerとフルコーラスVerはピークレヴェルが異なる。前者2つが0dBFSの箇所がフルコーラスは-1dBFS前後でまだ余裕がある。これが意図した処理なのか、現在映像メディアが基準としている音量LUFSからYoutubeが少し減衰させたのかは不明。

比較した曲はTune the Rainbow,アルコ,虹色クマクマ。最後だけ坂本真綾ではなく中島愛だが、坂本真綾より高音成分が多く、かつ伴奏もキラキラと高音が目立つ編成と構成ながら、独白よりも耳をつんざく音が無い比較のために格好の素材だったので。

自分が菅野よう子(薮原正史)の音に慣れているというのは間違いなくある。しかし、それは何故かというと、繰り返し聞いても耳を痛めないように配慮された音質であるからだ。500hzや2000hzなどは、もともと等ラウドネス曲線からして人間が聞き取りやすい音であり、菅野よう子(薮原正史)のミックスはあえてそこを抑えて無意識に感じる音を強調している。

独白のミキサーが誰で、そもそも音質の最終決定権が誰なのか不明だが、この曲の音質は、もともと過剰に聞こえる音域を更に持ち上げているので、音質を比較や判断する趣味や仕事や能力がある人からするとつらい。楽曲ではなく音質という点で、これを1日1回以上を1ヶ月毎日聞かされたら難聴になってしまう。

ハイレゾか圧縮かという問題ではない。そもそも主要の周波数の根本的な調整の問題であり、サンプリングレートやビットレートの問題ではない。

音質(音響)の知識がなく、曲自体は好きだが何と無く繰り返し聞くのがつらいという消費者は、上記の画像を参考に、各音楽再生ソフトのEQをいじってみてはどうか。

まずは500hzと2000hzを少しさげてみよう(厳密にはその周辺の帯域も影響してるのだが最初の1歩として)。

気にならないのならそれで良い。こういう音の違いに気づくかどうか気になるかどうかは半分は体質で、もう半分は訓練の結果なので。

味付けしてない新鮮な生野菜を食べて甘いと感じられる人と、調味料をふんだんに使わないと甘いと感じない人の違いであり、好みによって味付けを調整すれば良いだけの話。しかし、少なくとも前者にとって今回の曲の音質はつらいという独白である。