2020年7月9日木曜日

菅野よう子 オンライン七夕ライブを見た感想

初手、佐野康夫。

今年彼のDVDを見て、彼のセッティングからチューニングまで自身でやるのを15分近く見てたので、既視感しかなく笑ってしまった。

下手したら、総尺で菅野よう子よりも写ってる時間が長かったのでは?

今堀のエアコンが壊れて、今自宅は地獄らしい。

場所はビクター青山スタジオ。

https://victorstudio.jp/studio/index.html

恐らく301と302。

途中、菅野よう子がカメラもってふらついてたMaynがいたのが202のラウンジ。

編成は、

サックス3

トロンボーン3

トランペット3

ストリングス2222=8

ベース1

パーカス1

ドラム1

ギター1

歌手、

Mayn

中島愛

山根麻衣

Steve Conte

Origa

菅野よう子は赤を好み、これまでシートベルツ名義は赤のコートで統一してたのに、今回は青のワンピースだった。

実際、今回のライブになるなんて菅野よう子すら予想していなかったコロナ慰安動画では、通例の赤を着ていた。https://youtu.be/QYhHFHgoJgk

どういう意図だったのだろうか。

準備段階ではピアノの上にNord Lead 4と一緒にMorgが置いてあったのに、いざ演奏が始まる時には消えてて笑った。

チューニングと称して演奏者紹介の演出で、ライブじゃなく編集ありき映像と発覚。

チューニングにはイパネマの娘と、約束はいらない、という謎の組み合わせ。

今回、坂本真綾の出演を確信していたが、結局彼女がらみはこの約束はいらないだけだった。

曲目と感想

TANK

カウボーイビバップ放送当時から今まで至る所でずっと聞いてるので、自分はもういいよ、というのが正直。

彼女の鍵盤があまり絡まない曲でもあるし、これは100%自慢だが、自分は彼女の一般参加企画のTANK(https://youtu.be/mzDu7E6E-og)で採用されたので、もう自分にとってTANKに限ればタナソニよりもそれが生涯の思い出になってしまったので、TANKに限れば何を聞いても感動できないのではなかろうか?

ただ、録音後に藪原ミックスの半生音源だったので、大概もわもわぼわぼわきんきんでゴリ押しで終わる曲が、1発目から派手で音質方針をばっちし提示してくれたのはありがたかった。

それと、今回初めてオンラインライブを聞いて思ったのは、それぞれ観客の環境が異なるのだから、事前に最適音量にする設定音は出すべきではないか。

自分はあらかじめ前述のYoutubeなどでおおよそあたりをつけていたので、最初から最後まで快適に聞けたが、こういった企画全体に必要な配慮だと思った。

RUSH

好き嫌いで言うなら、TANKよりRUSH派。

イントロはいつも通りだが、A1がベース抜きの今堀ギター(&打楽器)だけの伴奏で、RUSHの派手編成なのに、NY Rushとは違う抑えたクールさで、既存音源と同じで違うライブ個性を簡単な編曲で出していた。

2001年や2009年の時はとにかく派手正義だったが、派手な曲でも騒ぐだけじゃ無いというのが、彼女も大人になったなあと。

Bad Dog

この曲いるか?w

彼女は、こういうつなぎ曲でも、ライブでは何か仕掛けを用意していて飽きさせないように毎度工夫してるのは本当にえらいと思う。

2001年ではCat Blues、2009年ではパンプキンで行進するなど。

しかし、今回はあらかじめ60分あるかないかと宣言してるのに、この曲よりも需要あるの幾らでもあるだろうと。

とはいえ、今回のライブで自分が大きく笑った箇所が2箇所あり、その1箇所がこの曲だった。

具体的には、菅野よう子がスケッチブックで演奏者に指示出しするところ。

トランペットに向かい、犬、猫、つまり鳴き真似的な演奏しやがれという事で、演奏者はちゃんと対応してたのだが、うさぎ。

は? うさぎ?

うさぎってそもそも鳴くのか?

演奏者が明らかに困惑、半ば無視して演奏してたのは声をあげて笑った。

今堀には宇宙人と指示して、即座にエフェクター踏んだ対応してたの、逆にそこまでしっかり対応するんじゃねえよと。

藪原ミックスで、伴奏PAN固定せず、宇宙人に切り替わったら左右にPAN移動してる配慮も行き届いてて、笑いという意味では、この一連が1番笑った。

RAIN

山根麻衣が出演するのは  確信してた。

というのも、コロナ動画(https://youtu.be/dX8gZubnMjA)や海外チャリティ(https://youtu.be/8GwE0wwMmKE)で再会してたのを知ってたから。

そういう意味じゃ、彼女達のつながりがまだちゃんと残ってたのはこれら動画で知って嬉しかった。

特に山根麻衣は商業から離れて富士山近くに家族と家を構えて隠居に近いのを知っていたから、ちゃんと連絡があれば快く応じるんだなあと。

そして、もう1人Steve Conte。

彼も前日にTwitterで出演すると言ってたので知ってたが、ここでデュエットで大きくしれっと出てくるとは予想してなかったので笑った。

これが笑った2箇所のうちの2つ目。

ちなみにこの曲、アニメ本編では山根麻衣が歌い、サントラ1ではSteveが歌ってて、どちらかしか知らないみたいな人もいるのではなかろうか。

ちゃんとオンラインで同録したらしく、歌い終わったあとにSteveに挨拶して泣いてた山根麻衣。

恐らくタナソニ以来だったのだろうが、彼女の人生を幾らか知ってると、ああ、こういう再会を惜しまず涙するものかと。

ただ、彼はCall me Call meかStrayが来るだろうと予想してたので、この1曲で終わりは寂しかった。

ウルフズレインには彼がギター1本で歌う曲があるが、当時ちゃんと伴奏録音したのに没にしたという裏話があるので、それの再現を期待してたという意味ではがっくし。

ちなみに、昔SteveにあんたのStrayが好きだとtwitterしたら、DMで返事を貰った事がある。

これも100%自慢。

inner Universe

これは完全に予想外だった。

菅野よう子がスタジオを移動して、なるほどピアノソロメドレーで終わり、アンコールで全員何か合唱の展開かと思ったら、ルーパーを使って高音の(恐らく)1度と5度を8分刻みでループさせて印象主義的な演奏しだしたのがこれだった。

そしておぼろげにピアノ以外の音が聞こえて、菅野よう子が泡を吹き出して、流石に意味がわからん音楽に集中させろよと思ってたら、音声にはOrigaの歌声が乗り、菅野よう子がパーティクルから宇宙になる映像編集。

昨年、菅野よう子がインフルエンザで欠席した犬フェスで予定していた演出らしい。

https://twitter.com/flyingdoginc/status/1280706046588157952

Origaをそのまま再現するでもなく、あくまで彼女の存在を感じられる残像としてわきまえていた。

しかも、エンドクレジットの最後にOrigaを出すのは、ずるいというかにくいというか。

自分はSACには思い入れがないが、菅野よう子と無関係にOrigaを知っていたし、彼女のピアノだけで合わせると言うところに、Origaを知る多くの観客と同じに、泣かずにはいられなかった。

ホシキラ

中島愛の登場。

Maynと同様に出演は予告されてたので驚かなかったが、Origaに続いての登場で、菅野よう子ピアノ1本にあわせるという、あまりに役回りが大きくて驚いた。

最初、放課後オーバーフロウのしっとりアレンジかと思ったが、違った。

彼女も音楽仕事で色々あって、まだランカを歌う事にどういう意識なのかはわからないが、今回に限ればふっきれてタイアップ的な曲だと匂わせる事なく、この曲だけ聞いたら彼女のためのライブだと言われても鵜呑みに出来るくらいに声も表情も生きてた。

ただ、個人的には虹色クマクマが聞きたかった。

あれ、オープンランカって歌詞さえ消せば、汎用の中島愛の曲として、坂本真綾の約束はいらない、花澤香菜のFlatteryに並ぶ代表曲にふさわしいのでは、と自分は考えている。

最後、無伴奏で歌い上げた色気とは違う清さを、今の彼女は持っているのだなと。

The Real Folk Blues - Mountain Root

山根麻衣の屋外夜映像だが、恐らくは彼女の自宅近辺か、ビクター山中湖のスタジオ。

尺が短いライブと宣言されてるから、彼女はRainで終わりだと思ったら、しれっと再登場。

イントロ今堀エレキで、最初はGotta Knock a Little Harderだと思ったら違った。

しかも、先述の動画はトリオもチャリティもF#短調なのに、これはE短調と、ちゃんと歌詞だけじゃなくて楽譜的にテイク違いを選んでる。

ここでストリングス8人が登場する。

2コーラス目でストリングスだけの伴奏になるのは今回特別で、明らかにチャリティを意識した対抗編曲だなと思ったが、コード進行は曖昧な記憶ながら原曲ともチャリティとも違った。

大サビ前のつなぎも、エクステンデッドドミナント的な動きで、これも原曲には無い、メドレーじゃないのに違う展開だった。

正直、1回聞いただけじゃ暗記も耳コピも出来ないので、音源を発売するか、せめて楽譜を発売してほしい。

ライオン

これまで無茶苦茶こった映像演出だったのに、くそださアンコール字幕。

そのくそださも演出意図なのは明確だが。

Maynの化粧と照明の加減で、彼女は健全なのにメンヘラ顔でくそ笑顔で笑った。

途中、氷河を溶かすという歌詞が、動画に聞こえて、ちょっとした今回用の替え歌かなと思ったが、どうやらただの勘違いだった。

Whats Planet is This!?

この曲いるか?w

Bad Dogにも言えるが、明らかなつなぎ様式曲で、サントラでも複数テイクが収録されてたり、なぜそんなに扱いが大きいのか自分にはわからなかった。

恐らくは曲というよりも、どんな楽器の出入りも自由で融通が利いて派手だからこれだったのだろう。

超ロングブレイクの佐野康夫がすげえ大変そうだった。

Rakuen

タナソニのときもそうだったが、この曲にやたらと意味を持たせようとしてるのは何故なんだろうか?

自分が狼雨に思い入れがないからわからないと言うのもあるが、もっとあざとく泣かせる曲をいくらでも持ってるのに、彼女がこれを選んでるのが自分にはわからなかった。

しかし、彼女のピアノとストリングスでエンドクレジットという流れは綺麗だった。

Waltz for Zizi

おまけ映像で音源が流れたが、これに限らずライブのあとに音源流すのやめてくれ。

余韻が消え失せる。

菅野よう子が笹を振り回したり、

本田雅人がMacbookProを欲しがったり、またろうがすげえ気を使って挨拶回りしたり、今堀が片付けてる後ろで渡辺等が弓で何かを弾いてるが音は聞こえなかったり、映像はありがたいが、この曲はビバップでも使用回数が多い汎用曲で、ガニメデ慕情やボヘミアンラプソディやブギウギフンシェイが脳内再生されて、ライブの繊細な記憶が掻き消された。

最初と最後の映像がピアノなんだから、せめて、かわいそうなフェイとかにしてくれよ。

The Real Folk Bluesのストリングスパート忘れたのもお前のせいだからな。

終わりに。

5月の突発一般参加が始まった時からずっと企画に張り付いていたが、まさか最終的には精神的タナソニ2にまで至るとは考えていなかった。

先述の通り、個人的には一般参加で採用されたので、思い出という点では自分にとってはそちらの方が上だし、サントラは網羅してるとはいえ全曲を知ってるわけでもないのに知らない曲が無かったのは残念だった。

しかし、彼女は文字通りピアノを弾く腕をちゃんと見せてくれたし、人脈を駆使してライブすれば充分だったのにプラスアルファをしっかりと叩きつけてきたし、やはり、ピアノとOrigaを見せられては、何も言えない。美空ひばりとOrigaの違い。前者は彼女に無関係な技術的や政治的な再現や並ぶ存在など野心があった。だから気持ち悪かった。しかし、菅野よう子がOrigaにした事は、一緒に仕事した当事者として2度と戻らない事を自覚した上で、あくまで残像として、今を生きてるものとの短い交差に過ぎないと、わきまえてた。

天皇に曲を書いて名実ともに日本代表作家になってどうなるかと思ったが、こういう突発的で細かい事を全然やる気なのだなと、Lucyシークレットライブで今堀恒雄,渡辺等,佐野康夫の小編成でばりばりやってたのを思い出して、本質的に変わってないのを見て安心した。

特に、菅野よう子のベースがある時期からバカボン鈴木に変わり、タナソニもそうだったが、彼が良い悪いではなく、昔を知ってる身としてはそれなりに寂しかったが、突発企画でしれっと渡辺等がレギュラとしていたのも嬉しかった。

彼女もいい歳で、もはや作家として何も困らず、金にも困らない天下人として、我々があと何度彼女を目の前で見られるかはわからない。

ただ、彼女の奔放さは衰えていないようなので、チケット争奪戦さえなんとかなるのならば、いずれまた叶うだろうか。

自分なら彼女に向けて何を短冊に書くだろうか。

サインはいらない。楽譜くれ。