2019年9月26日木曜日

双亡亭壊すべし 13巻 - 「うしおととら」と同じようで異なる「体内の異物」と4巻からの伏線

藤田和日郎の著作双亡亭壊すべし
老いた作家の無理した少年誌の乖離に違和感があって途中で読まなくなった。
しかし、最新14巻の表紙が、ここにきて色気テコいれの居直りがおかしくて、続きを購入して読んだ。
ここでは13巻の内容のみ書く。



代表作であり名作のうしおととらとの違い。
  • 体内の異物
    • うしおととらは目的が同じ人間/前提が共有
      • 妖怪すら基本的に人間か人間の概念の延長
    • 双亡亭壊すべしは前提が異なる異種族
      • 宇宙人/姿が人間でも価値観の根本が異なる
    • つまり、内外の乖離が逆。
    • また前者は最後は精神論だが、後者は思い込みだけでどうにもならない科学も人類の壹部として扱っている。
      • 宗教と科学は対立しない
昭和の価値観
  • 世の中にゃ心配されて死ぬホド怒る男が…いるんだぜ
ここ5年程で世界的に肉体回帰の時代にある。
デジタル処理の有益を踏まえた上で限界もわかってきたから。
しかし、それにしても現代の男の読者からすら嘲笑されそうな価値観を断言する潔さ。

【4巻の伏線】
もはやタコハセイイチの家族構成や、タコタつながりの伏線なんぞ忘れていた。
マコトが明らかになって確認したら、4巻の段階では意図して弟に見えるように描いていた
本作はスティーブンキング的なSFと古典の情緒と混在を目指して描かれている。
しかし、時間の歪みをここまで明確に利用してくるとは予想していなかったので、素直にSF的にしっかり回収したのはおみごと。