2018年1月21日日曜日

【双亡亭壊すべし】7巻の感想

  • 教科書のような自己犠牲的な登場人物達。
  • とにかく、英雄だろうが凡人だろうが、必要なのは覚悟である。
  • 土地を離れるにせよ離れられぬにせよ、関係を断つにせよ断てぬにせよ。既知を継ぐにせよ未知を求めるにせよ。
  • 少なくとも、失うものを得られるまで若者は生き続けられる優しさ。
  • 死に際の救い。
  • 御都合主義ではあるが、藤田和日郎は救われる者がいるのと同様に救われない者も描くので、そこに気をつけて読む。
  • 無理解の無意識な批判をせずに政治家を情熱ある人物として描いている。藤田の歳ゆえに諦観と理想。
  • 日本刀を振り回すイケメンに、顔を隠す美少女。恥も外聞もなき少年漫画としてのサービス精神。
  • それをサービス精神と言えるのは、作中には美少女などと等しく爺婆や大人が存在するからこそ、目立った上で一部にすぎない。
とにかく、説教というよりは、俺はこれだけ凄いんだ、しかし、これを超えてみせろ、という相剋。
老いたからこそ残す覚悟と、残ってるものへの執着と。
舞台設定はおろか、根本的な価値観が時代錯誤だが、結局は生きぬく極地を描いているわけで、そこに老若男女のいずれが許されることなどない。
まだ晩年という歳でもないが、それでも分野の主流ではないおっさんが、ここまで現在に中中見られない攻めた、しかし奇麗な作品を維持して描けるとは。