2017年6月8日木曜日

映画「メッセージ - Arrival」を見た感想

  • バベルの塔は複数ある言語の説明だが、本作は、仮に言語が1種類でも人類は分断しえる、という事を書いてると思ったら、原作未読だが原作の短編集あなたの人生の物語バビロンの塔という作品が収録されていた。しかもデビュウ作らしい。納得。
  • 【音楽】最初は西洋音楽クラシックだが、段々と12平均律の和声から外れた曲も流れて、中には雅楽の笙に近い音色の曲もあった。作中にも設定として日本がちょいちょい出てくるが、作中の古今東西を音楽もちゃんと意識してる。
  • 中国が麻雀で対話してるのには笑った。
  • 戦闘を楽しむものじゃないSFならば、コクーンコンタクトなんかを連想しながら見ていたが、科学に善悪が無いのと同様に、理解は幸福も不幸も招く。最後に全く問題なく会話できてたのが残念。
  • メッセージは裏切りのサーカスばりにミスリード邦題。
  • 3000年後とは気の長い話だが、ツッコミ要素ではない。時間を往来してるのだから、複数の場所に同時に現れたのと同様に、複数の時間にあれを同時にやっていた。……で成り立つ。
  • Drマンハッタンは男で、かつ超能力により人格も変化したが、もしあれが女で、かつ人格は変わらなかったら、というIF。
  • あるいはジョジョ6部覚悟があるから幸せなんだ。果たして未来が既知となった時に人類は幸福でいられるのか。
  • エイミーアダムスが影響をうけて夢に見るくだり、あの実像を見るの、まんま複製された男の最後と同じで笑った。
  • 英語を言語の中心として、表意文字と比較して英語の不合理を語っていたが、そもそもヘプタコ連中の言語は、単数と複数や自制や主語に厳密性がなく成り立つ日本語に近い。これ日本がヘプタコを対峙したらどうなるかの話もあれば面白かった。宇宙船が金属じゃなく石っぽいのも、日本の宗教に合うし、どこの国でもそうだが、1箇月くらい害がないままなら、長野県茅野市の工事中に現れた大きな岩みたいに、由来不明のまま崇める事になりそうだと考えて面白かった。
  • 海外旅行したくなった。宇宙に行くまでもなく、待つまでもなく、自分の知らない言葉と文化を思い知るなら、1人で海外旅行をすれば良い。そういう人が少ない日本だから、異文化交流の損得を描いた本作は売れないだろうと思う。母娘と相当に日本向きな作品なのに。