2016年2月16日火曜日

【将棋の渡辺くん】身近で馬鹿にしながらも添い遂げる人間が描く貴重な作品

将棋の渡辺くん(1) (ワイドKC 週刊少年マガジン)

無茶苦茶に笑った。
絵柄から、実話をもとに年齢設定を幼稚園とか小学生にして萌えを強調したものだと思っていたら、絵柄がこれなだけで実年齢で息子も描かれていた。

これがギャグ漫画ならそれほど面白くないのだけど、漫画みたいな事が実際にあった事を漫画にした、ので容易に実像が想像できて、笑えない頁が無いほど。
つまり、完全に内輪ネタである。
ただし、中2ナイトニッポンvol.8【1/2】『50才の地図〜俺は本当に天命を知ったのか!?』にも言えるが、客観的に何があって、主観的にそれをどうしたか、の分離と説明が明快なので、当人を好きである、という前提があるとはいえ、勢いや乗りは初見でもそこそこわかるものであると思う。

殺虫剤をふきかけようと思ったら向きを間違えて自分にギャー!なんて漫画じゃくそつまらんが、実際に起きた事だったら、そら驚くし笑うしかない。

妻ゆえに、旦那を馬鹿にしながら描いてる気楽さが、うまくいっている。
将棋に限らないが、人物や分野を知らずに好きだと、どうしたって美化されるものだが、分野の困難さをある程度わかりながら、人物を過大評価しない。
メディアでは不要だったり体裁だったりで明かされない、ぬいぐるみ云々だとか、ギャグ調ではあるが、羽生よりも早くケーキ食べた話を負けた試合なのに家であっけらかんと話してる様子など。
渡辺明は、メディアにおいても言動が明快で受けているが、それでも更に将棋とは無関係な馬鹿らしさを、身近で馬鹿にしながらも添い遂げる人間から過大評価も過小評価もされていない様を垣間みられるというのは、これは中中に貴重な作品ではないのだろうか。