2015年2月3日火曜日

【鋼の錬金術師】大人買いで読んだがアナ雪でがっかり

主人公以外にも某の錬金術とか異名量産で馬鹿らしい。
でもガンガンだからきっと正しい。
読んでる時には思いつかなかったが、Shadow Skill的な価値観とも言えるか。
つまり、やはり読み始めるには世代的に遅すぎたか。

昔の少年漫画って身長低い主人公が多かったが、精神的に成長しても絵柄じゃなく設定上身長が変わらない作品も多いけど、精神と身体の一致、身長がのびてるのは良かった。
この辺は、筋肉=精神という作中の論理とも一致して、まっとうしている。えらい。

父親がラスボスで賢者の石を作るために朴璐美と釘宮理恵を生贄にする落ちじゃね?
とベタな予想は外れた。

主人公が理不尽に同世代の女にもてる問題が無いのは良かった。
この辺が女作者の妙で、女の登場人物は多いけど、主人公との関係が多様で主人公に興味ない女までいる。

深刻な設定に対して深刻な描写不足。
スーファミのイベント見てるみたい。
画面が一瞬光ったから刺された、みたいな。
動機に価値はあっても行動に意味がない。
英雄譚のようで実は生活感を重視してる、片思い恋愛詐欺のハチクロと同じだ。
あっちは逆だが。

ヨーロッパと中東の十字軍過去編に入ったが、全然壮大さが無い。
理由は、作品自体の白い背景が多いから。
状況を描いても背景を描いてない。
時間も場所も違うはずなのにいつも同じ意味と動きというか、連続してるのに1話完結のあっさり感なのよ。
ある意味で中身の無いドラゴンボールの説得力は、読者と違う世界の場面ごとに異なる場所、背景をしっかり描かれているから、没入できる。
全てではないが、理由の1つ。

中盤以降、キャラが増えてからどんどんつまらなくなっていく。
話が進むほど悪人がいなくなって登場人物全員が読者に好かれようとして気持ち悪い。
ヨーロッパ、アメリカ、中東、中国、ロシアなど世界や人種を扱いながら、根拠となる生活環境(背景)は軽く扱われ個人の感情の終始する。
学校だろうが公園だろうが日本だろうが日本以外だろうが大きなコマで背景にやたら花が描きこまれるみたいな、本作は少年漫画の体裁だけど、内実は少女漫画。

でた!
人間以外が人間という存在をうらやましい人間って素晴らしい理論。
少年漫画だから、ある程度はしょうがないけど、これは自画自賛の自己陶酔になるから、人間が人間以外の良さを見出さなきゃ駄目だろ。

ダイの大冒険ほど種族の思想や英雄の乖離や世界の違いもなく、うしおととらほど醜さや主人公が持つゆえに周囲が失い幸福の格差があるでもなく、なんじゃこりゃ。
最初の設定の負い目が負い目じゃなくってるし、完全に辛苦を装って自分に甘い世界だけのアナ雪じゃん。

とらと真由子の「わしのでざぁと」的な、釘宮理恵が身体よりも戦力を選ぶ決断。
凄く良い。文句なく素晴らしい。
そして、魂を代償に右腕を、1巻と同じド3流台詞で激熱展開なのに、朴璐美はどうして左腕で殴った。殴らせた。
「おれたち」っていうなら引き換えた右腕だろうが。
しっかり殴る場面は執拗に左腕で殴ってるし、その後に右腕を引き換えに釘宮理恵を戻す算段ならともかく、そういう展開でもなく、そもそも最終決戦で後が無いからこそ釘宮理恵は肉体をあきらめ、魂すら捧げたのに、朴璐美が、作者が右腕をかばったら駄目だろ。

ヒックとドラゴン2だって不満ばかりだけど、ハガレンほどぬるくなかった。
父の死は主人公の罪であり糧で、生きる、戦う動機だった。
そういう意味じゃヒックとドラゴン2はやることはやった。
演出の処理っぷりが酷かっただけで。
しかし、本作は、がっかりだよ。
何が等価交換だよ
主人公は実質何も失わずに全てを獲得したじゃねえかよ、なめてんのかよ。
最後のヒロインの婚約呆れは良かったけど。
絵の未熟さもあったかもしれないが、この作者って、巨大とか広大に興味なくて、結局は愛し愛される私たち素敵キャッ!にしか興味なかったんだな。
あの悪のりアッパラパ漫画のハーメルンのバイオリン弾きすら、ドラムの本性やばかったじゃん、あの巨大で恐ろしい陰影、絶望感、ゆえの逆転を予感させる盛り上がり。
素晴らしい少年漫画の作品それぞれから要素だけもってきて、主張を見出せぬままに敵を作らないよう描いた同人誌って感じ。
ピークは2巻の犬と娘だった。
自分の感情に甘い、ただの少女漫画だった。