2014年8月12日火曜日

吉田基已【夏の前日】最終巻(5)の感想

4巻と5巻で表紙の色かぶってるじゃねえか!と思ったけど、RGB(赤→緑→青)と展開してるのね。行き着く先は白か黒か。

結局は華美END。よく言われていたが、改めて、華美が美化されすぎて笑う。あくまで本作は単独で晶ENDでも良かったんじゃないか、という意見もあったし、それはそれで悪くないと思うが、2人は結ばれて幸せなら、そもそもこの作品を描くのが無意味ではあるし、しゃあない。作品の体裁で、哲生は最後に悟ったふうだが、この後も相当うじうじるの知っていると感動より笑いが止まらなかった。華美「おーい」に笑顔を向ける哲生。あれで本当に最後ならイケメンだったのにな…w

晶の絵は、晶が持たずに哲生が持つのね。そこだけ納得いかなかった。描く理由とか機会からして、哲生が持って終わるのは自然なんだけど、晶の存在が哲生に残ってしまうという点で、納得いかない。作品は最初、哲生にとっての晶を描こうとしたと思うのだが、展開がしっかりしてきた結果、晶にとっての哲生という最後の流れだったので、幾らか吉田基已にとって予定外な展開だったのじゃないかとも考えた。

ちゃんと下乳を手で持ち上げてるの、漫画においては珍しい気がする。

指を強く曲げてるの良い。AVでもよくあるのが、あんあん気持ちいいと言葉で主張するだけで手は何も握らず足もぶらぶら。声をあげずとも、手がシーツや男の腕を掴み、足がこの絵のように、演技であろうが「全身に気がいってる」ように見えるのが興奮するし好感。

最後のセックスは興奮しなかった。これまでは、哲生のフェチ、そして、晶もちゃんとフェチの打ち合いだったが、最後は、段取られた作品における必要悪のセックスという感じで興奮しなかった。

漫画の表情として、この作品で最も情報量がある表情じゃなかろうか? 素人がささっと線をひくだけじゃ描けない表情。3次元の笑顔と2次元の笑顔は意味というか価値が違う。笑顔は顔文字で^-^文字、あるいは目の2文字、2線で描けてしまう。3次元では、皺や目尻がさがらない嘘笑顔など、笑顔1つの情報量が多くあるが、単純化された2次元の場合に笑ってない笑顔は無理なので、笑顔は表情に乏しい表現となる。2次元では、笑顔よりも怪訝顔が好き。THE MENTALIST(メンタリスト)のリズボンみたいに3次元の怪訝顔もたまらんが。

桃を食べるところは、漫画というより、吉田基已が絵を描くことに執着した結果という感じがする。そこまで齣や頁を費やすことじゃないべw

「晶が俺(哲生)の中で…」は女の感覚。中で感じるのは女の感覚。しっかり捕まえておいてくれ、という願望も。哲生はヘタレで女々しいキャラだが、それでも作品における感覚はわりとちゃんと男していたけど、最後でこんなんかい。

銀杏と絵はやばかった。演出的に、哲生はあくまで「絵」に対して「いつまで持ってるんだ」と驚いた感じだが、3話で銀杏、4話で肖像。絵はおぼえていたが、銀杏の葉がいつの話か忘れていたので再読したが、1巻だった。もう絶対に獲得できない過去の幸福の断片を幸福が終わってから思い知る場面というのは素晴らしい。自分にとって5億点の展開。

平手から「じゃあな」はやばかった。作品、作者に限らず、打たれた姿勢から変わらずに最後の言葉を発する演出は、他の作品でも見たいと思った。

風呂掃除してる晶の尻がたまらん。河原で絵を描く哲生を見てる晶の1頁は、色つけてほしかった。巻頭に色つきの似た構図の絵があるけど、本編の演出として、あの1頁だけ色つきなら大興奮だったのに。哲生の嘘に対して本音を叫んだあとの晶の顔が少女漫画すぎるw

次回作もまた過去作が絡んだ何かなのか、それとも純粋な新作なのか…いずれにせよ楽しみ。中村悠一と桑島法子でノイタミナからアニメ化しろよ。

恋風がずっこけたから無理だろうな。セックスもがっちりしてるし。