2014年7月4日金曜日

実写映画「るろうに剣心」光栄だろ?


実写「るろうに剣心」を見た。
連載開始の当時からずっと本誌で読んでいて、鵜堂刃衛で単行本を買うようになり、斎藤一に惚れてゲーセンのスコアランキングの名前アルファベット3文字をASZ(悪即斬)にし、本誌では志々雄真実の刀は不変刃だったのに単行本で無限刃に変更されてた、とか牙突零式のあとの宇水に対する斎藤の台詞が本誌だと「光栄だろ?」だったのが単行本で「光栄に思え」に変更されていてアニメは「光栄だろ?」を採用していたのにるろうに剣心 完全版 11では「光栄に思え」のままなのが気に食わない、断然「光栄だろ?」派。

あとTVシリーズのアニメは全否定じゃないけど、どちらかと言えば否定派。
原作7巻にあたる斎藤一は本当に素晴らしい回だったけど、作画とか声とかOP曲とか何から何まで気にくわないことが多すぎた。
特にOP曲のそばかすは最悪。
当時の自分は発狂してた。
最近になって真偽不明だが、(当時)最近のアニメを知らないからキャンディヤンディみたいなものを作った、なんて話を聞いて凄く納得した。
更にレコチョクが“るろうに剣心名曲ランキング”を発表!1位はJUDY AND MARY「そばかす」に決定!なんて記事を見て久しぶりに発狂した。
曲単体の良し悪しはともかく、あれは全くるろうに剣心の曲じゃないだろ。

反面、ED曲はHEART OF SWORD~夜明け前~It’s gonna rain!は良いと思ってCDも買った。

さて、そんな自分が見ての感想は……面白かった。
20世紀少年の時にも思ったが、突っ込みどころは多く不満なんて幾らでもあるけど、それでも日本の実写で予算と手間がしっかり反映されてる作品。
殺陣が最高だった。

アバンは日本の映画もここまで来たかと思った。
言うほど日本の映画見たことないけど。
自分が好きな邦画はDVD未発売でVHSのみの誘拐くらいか。

ただし、アバンから題名に入るの不自然だった気がする。
最後まで見ると刃衛の立ち位置からまあわからんでもないかな、と思ったけど、原作を知ってると何故登場キャラの1人にすぎない紹介場面でタイトル!?と思った。
個人的には戦い終わって勝利と同時に刀を捨てた流れで十時傷のマークと題名、というほうがびしっと決まったんじゃないかと。

クリストファーノーランのダークナイト3部作は、作品が続くにつれてバットマンのガジェットアクションが無くなりグラップルガンによる移動や戦いも無くなったが、外印が剣心を糸で捉えたアクションのくだりを見て、ノーランバッツにもこういう事をしてほしかった、と思った。
逆さ吊りのまま銃弾を弾く剣心とか普通に格好よかったし。

三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船と同じように、ハイスピードカメラじゃなく汎用カメラで撮影した映像をスロウしてるから、凄く汚く見えた。

漫画やアニメだと多用されるが実写だと案外無いい演出。
踏み込む足や抜刀の瞬間に刀を拡大など、漫画らしい演出が実写でもしっかりやられていて、違和感なく機能していた。
実写魍魎の匣は御筥様との対決が酷かったからな。京極堂の蘊蓄も無いし、反閇もディゾルブで流すだけ。この反閇の説明する時に、全身図だけを見せられたから凄くしょぼかった。踏み込んだ瞬間だけ足を拡大とかすれば良かったのに、と漫画的な演出の無さに不満があったので、実写「るろうに剣心」は漫画的演出と実写の絶え間ない動きが噛み合って素晴らしかった。
ワイヤーアクションのはったりも実にきいてる。
斬馬刀がしなっていたのには笑ったがw

刃衛と双龍閃は原作まんまだったが、アニメならエフェクトで尺を稼ぎ時間を錯覚させられるが、実写だとそれが出来ないので、納得はしてるけどスロウだったのが残念。
あと、抜刀が当てる気なく空振りする気で空振ってるのは安全上の問題なのだろうか?

1番に格好よかったのは、刃衛の背車刀。
もともと現実に可能な技だが、ワイヤーアクションが基本の作品なので、ワイヤー不要の当人の技術だけで成り立ってる感じが地味だが、しかし映画なりの滑らかさで超格好よかった。
牙突は酷すぎるw
ワイヤーアクションの飛天御剣流と単純な技術の背車刀はそれぞれに指向が異なり良いのに、牙突だけ雑すぎんだろ。なんだあの斜め跳躍はw 3式のつもりだったのか?

ロケと違い美術がしょぼいのはしょうがない。日本映画だし。
サイド・バイ・サイドでも語れてるが、古くない物を古く見せるのは、新しい物を作るよりも難しい。

緋色の半着が原作と設定が異なったが、映画は粋な事してきた。
原作だと格好つけ以外の理由が無いが、薫との関係を補強する設定にするとはお見事。

演技とか人間という意味じゃくそつまらない。
そこは割り切って、感動させようとか意味があるとか思って作っていない。
予算も規模も違うが、アベンジャーズ的な作品。
個人的には、追憶編星霜編のような重さが欲しかった。
原作とあまりに違うので反感も多いが、個人的には好き。
星霜編なんてダイジェスト過ぎて酷いが、あの最終場面を見せられたら泣くしかない。

ダークナイト的な要素こそある作品だと思うので、邦画はそこに辿りついて欲しいが、これは無理だし、本作のアクション監督谷垣健治のイベント谷垣健治のアクション映画バカ一代ナイトで、監督の大友啓史がゲストで酒飲みながら「ダークナイトがやりてえんじゃねえんだよ!」って言ってたからやる気なかっただろうw

続編は8月1日に上映か。
トレイラを見る限り、美術は相変わらずちゃちいし、人物演技も学芸会だけど、殺陣はちゃんとしてるっぽいし、予算が増えたぶん練られてそう。
続編こそは牙突をちゃんと牙突してくれ。
登場人物を見る限り3強の宇水はいないみたいだけどw
牙突零式と、そして「光栄だろ?」を期待している。
光栄だろ?